「トイレでスマホ」は言語道断! 梅雨時にリスクが激増する「スマホ食中毒」を専門家が解説 用を足した後には“手の甲”や“親指の付け根”まで洗うべし
水を流すときに「菌は舞い上がる」
日本食中毒防止協会の中島孝治専務理事も、スマホの危険性を早くから指摘していたひとりだ。
「スマホを介した食中毒の危険性が高いのは、黄色ブドウ球菌と、腸内の悪玉菌の一種・ウェルシュ菌です。前者は健康な人の約3割が持っている皮膚の常在菌。自分が持っていなかったとしても、家族や調理場の誰かが持っていて、その人が触った冷蔵庫のドアノブなどから食品に付着する恐れがあります」
一方、ウェルシュ菌は大便に含まれているため、やはりトイレに注意が必要だと続ける。
「読者の皆さんも、自分で大便後にお尻を拭いた時、手のどこがお尻と接触するか、一度チェックしてみてください。実は、親指の付け根が必ず自分のお尻と接触しているはずですから。大便が便器の水に落ちた時に、お尻に菌が付着。そのお尻に親指の付け根が当たっているのに、手を洗う時には指先を中心に洗っている人がほとんどなんです。さらに、水を流す時などに舞い上がった菌は手の甲にも多く付着しますが、そこも入念に洗えていません。それほど汚染のリスクが高いトイレにスマホを持ち込むなんて言語道断ですよ」(中島氏)
食品などが、どれほど菌に汚染されているかを測る基準として「RLU値」という単位がある。食品工場などでは1000RLU以下が絶対で、基準値としては800RLU以下が求められるというが……。
「一度、私のスマホケースで菌の繁殖リスクを調べたところ、なんと1万7000RLU以上の数値が出て、驚いたことがあります。もちろん、私はトイレにスマホを持ち込まないのに、これだけ高い汚染度が示されたわけです。料理中にスマホを触ることがいかに危険な行為か、お分かりいただけるかと思います」(同)
「除菌シート」や「音声検索」で防衛策を
中島氏は、こうした危険性を子どもの頃から教えることも重要だと訴える。
「食中毒の危険性は、全国、いや世界中で教育されていません。年間に世界中で40万人以上の人々が食中毒で死亡しているといわれているのに、教育面では重視されていないのです。今から小学校の義務教育に組み込めば、15年後の食中毒は、かなり減っているはずです。まず日本が衛生基準を作り、世界へ向けて発信してこそ、和食の世界食文化遺産の価値も守れると思います」
前出の上原氏は、具体的な対策をレクチャーしてくれた。
「日頃からスマホを除菌シートなどでこまめに拭く習慣をつけてほしい。料理のときや食事中にはスマホを触らないことが一番ですが、レシピを確認したいときは『ふわふわのオムレツの作り方を教えて!』などと音声で検索する癖をつけることもスマホ食中毒を防ぐ一歩になるかもしれませんね」





