メジャー2シーズンで帰国したことに「後悔はある」 日本人大リーガー第1号・村上雅則(81)が語る60年前の渡米と「活躍できる日本人投手」の特徴
「“教えてくれ”と言わないと、コーチはアドバイスしてくれない」
帰国後、村上氏は南海、阪神、日本ハムで17年間プレーし、103勝82敗30セーブを記録した。
そんな村上氏の目に、メジャーで奮闘する日本人投手はどう映っているのか。
「メジャーで活躍している日本人投手にはある特徴があるように思えます。一言で言えば、自分で考える力、およびコミュニケーション能力を持っているかどうか。メジャーの場合、選手が自分から“教えてくれ”と言わないと、コーチは事細かなアドバイスをしてくれない傾向にありますが、日本はコーチが親身になって指導してくれる。自分のフォームや投球の組み立て、打者との駆け引きの妙などは、コーチからの指摘によって初めて気付くことも多く、助言がキッカケとなって自ら試行錯誤を始めるケースは少なくありません」
そのため日本でそれなりの年数をプレーし、勝ち負けを積み重ねた投手の方がアメリカで柔軟に対応できるという。さらに、
「ドジャースの大谷翔平選手(30)についていえば、技術・体力面で秀でた部分があるのは言わずもがなですが、彼のフレンドリーで朗らかな性格も成功に大きく寄与していると考えます。彼のようにコミュニケーション能力の高い選手ほど、チームにすんなり溶け込み、周りからのバックアップも含め、自分の能力を最大限に発揮できる環境をつくり上げています」
“マイナーで数試合経験させてからの方が”
そんな中、村上氏が気にかけるのが、大谷のチームメイトで、5月13日に右肩を痛め負傷者リスト入りした佐々木朗希投手(23)だ。
「今年3月に日本で行われた開幕戦で彼のピッチングを見た時、“マイナーで数試合経験させ、7イニング程度を投げられる体になってからメジャーで登板させた方がいいのでは”と感じました。コントロールは膝と腰を強化することで良くなるものですが、そんな体づくりの部分で彼に若干の不安を感じたからです。年齢や資質を考えれば、メジャーでの本格デビューが少し遅れたからといって、彼のキャリアにマイナスになることはありません」
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