御三家レベルや慶應中等部のブースには人だかり…今年も「東京私立中学合同相談会」に保護者と小学生が殺到 過熱の理由は“私立志向”よりも“公立不信”
朝日新聞の大宣伝
必死なのは学校の職員だけではない。保護者も血相を変えているのは当然として、中学受験に前のめりな小学生の姿も少なくなかったという。
「ブースの前で男の子が熱心にメモを取りながら、学校職員の説明に耳を傾けていたのには驚かされました。特に男子小学生は痩せてメガネをかけ、ちょっとオタクっぽい雰囲気、なおかつ育ちは良さそうというタイプばかりだったと言っても過言ではないと思います。『ドラえもん』のジャイアンみたいな小学生は皆無でした。女子小学生も『親に無理矢理連れてこられた』という雰囲気の子供は見当たらず、自分の意思でパンフレットを受け取り、様々な中学校をチェックしていました」(同・父親)
ちなみにこの説明会、主催は一般財団法人の東京私立中学高等学校協会と、何と朝日新聞社なのだ。
「会場の真ん中には朝日小学生新聞の大きなブースがあり、社員と思しき男性が『受験の役にも立つ朝日小学生新聞です』と大声を出しながら新聞を配っていました。私は個人的に朝日新聞が『購読すると大学入試や就職活動の役に立つ』と宣伝しているのが嫌いで、『新聞社なら紙面の内容や社説をPRしろ』と思っていました。小学生相手にも同じことをやっているのかとげんなりしましたし、朝日新聞が中学受験の過熱を是としているようにも見えて、それで本当に“社会の木鐸”なのかと引っかかりました」(同・父親)
今後も続く過熱
首都圏模試センターが2月に発表したデータによると、今年首都圏の私立・国立中学を受験した小学生は5万2300人。受験率18・1%は過去2番目の高さだったという。
「中学受験が過熱している理由の一つに、保護者の公立中学校に対する不信感が年々、強まっていることが挙げられます。様々なタイプが集まる公立中はカオスのようになっている教室も少なくありません。一方、私立中における偏差値の序列は保護者の学歴、年収、社会的地位を反映したところもあり、合格した中学校には『自分の子供に似た同級生が集まっている』ことが期待できます。公立中学に対する悪いイメージが払拭されない限り、中学受験の過熱は続くのではないでしょうか」(前出の担当記者)
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