御三家レベルや慶應中等部のブースには人だかり…今年も「東京私立中学合同相談会」に保護者と小学生が殺到 過熱の理由は“私立志向”よりも“公立不信”
中学受験の異常な過熱を、これほど実感できるイベントは他にないのかもしれない。5月18日、東京・有楽町の東京国際フォーラムで「東京私立中学合同相談会」が開催された。都内の私立中学校174校が会場にブースを設置し、学校の特色などをPR、保護者の相談も受け付けるという中受業界では有名な“年中行事”だ。
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担当記者は「毎年、ものすごい数の保護者と小学生が押し寄せるので有名です。特に2023年の相談会は桁外れの大混雑となり、ネット上で話題になったほどでした」と言う。
「会場に入りきれない保護者と小学生が大行列。東京国際フォーラムの中だけでは収まりきれず、入口の外に伸びて建物を何重にも取り囲みました。当時のTwitter(現・X)には『1時間待ち』、『3時間待ち』、『東京ディズニーランドより混んでいる』といった悲鳴が殺到し、大行列を撮影した画像も拡散しました。これほど混雑した原因を『5000人キャパの会場に5万人が詰めかけたから』と解説した投稿も話題を集めましたが、真偽のほどは分かりません。ちなみに相談会に参加した都内の女子中学校は公式サイトで大行列の写真を掲載し、来場者数は約3万5000人だったと記しました」
今年の相談会も行列ができたのは事実だが、さすがに2023年のような大混乱は起きなかったようだ。相談会に参加した父親が言う。
「ネットでの完全予約制で、2023年の時と違って入場時間が1時間ごとに指定されていました。私たちは夫婦と一人息子で午前10時に訪れると、活況は呈していましたが、行列はできていませんでした。23年の時にXで話題になったような『入場できる気配がない』とか『人がゴミのよう』といった雰囲気ではなかったですね。会場の中は確かに混雑していましたが、私立中のブースによって“格差”が明確だったのが印象的でした。1時間ほど見て回って外に出ると、そこで初めて行列ができているのを見つけました」
小学生を呼び込む学校職員
この父親によると、人だかりができている私立中のブースは、偏差値か知名度の高い学校に限られていたという。
「端的に言えば御三家、男子校なら開成、麻布、武蔵、女子校なら桜蔭、女子学院、雙葉といったレベルの中学校のブースは保護者と小学生が押すな押すなという具合でした。中でも特に人が殺到している印象を持ったのが慶應中等部で、ブースの前にベルトのパーテーションで行列を作らせていました。他にも女子校の伝統校や、有名大学の進学率で知られる中学校なども盛況でしたね。うちの子供は偏差値が低いので私たち夫婦はスルーしましたが、白状すると横目で混雑しているブースを眺めながら『あんな偏差値の高い中学校に子供が合格すると思っているんだろうか?』と意地悪な気持ちになったのは事実です」
一方、ブースの前に誰もいないという中学校も珍しくなかったという。歌舞伎町で客引きは禁止されているが、こちらの相談会ではOK。保護者や小学生を呼び込もうとする学校職員の姿も目立っていたそうだ。
「デザインが秀逸なポスターを掲示していた無名の中学校があり、子供が関心を持って立ち止まったのです。すると絶妙のタイミングで職員の人が私たち夫婦も含めて『ちょっといいですか?』と声をかけてきて、やっぱり慣れているなと感心しました。まだ歴史の浅い学校ということもあってPRに必死でしたが、印象に残ったのは『英語教育に力を入れている』という今どきのセールスポイントと、大学合格率だけでなく『有名企業によるキャリア教育が充実している』と力説するところでした。要するに『ウチの中学、高校に通えば大学生になった時の就活に役立ちます』とアピールしているわけです」(同・父親)
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