漏洩指示認定「斎藤知事」を「給与カット」で終わらせていいのか 元特捜検事は「刑事告発されるべき」と明言
県職員には告発の義務がある
「今回、停職3カ月の処分が下された前総務部長は地方公務員法の秘密を守る義務(守秘義務)違反を認めているわけですから、刑事告発されて有罪となれば1年以下の懲役、50万円以下の罰金が科されます。そして第三者委が認定したように、知事と副知事がそれを指示したということならば、守秘義務違反の教唆犯、強い指示であれば共同正犯に問われる可能性があります」(若狭弁護士)
とはいえ、第三者委の報告書だけで捜査当局が動くとは考えにくい。
「誰かが告発すればいいのです。刑事訴訟法第239条の第2項には《官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない》とあります。つまり、県職員は犯罪があると思われるときには告発の義務があり、これに違反すれば懲戒の対象となります」(若狭弁護士)
だが今回、県は前総務部長を刑事告発しないと発表している。ましてや県職員のトップである知事の告発などできるのだろうか。
「なんだかんだ理由をつけて有耶無耶にしてしまう可能性があります。前総務部長に守秘義務違反があって、それを知事や副知事が指示したと第三者委は認定しているのですから、告発義務は生じると思います。ただ、斎藤知事は再選したばかりで、その重みというものがあるでしょうから、実際のところ告発はしにくいでしょうね」(若狭弁護士)
ならば誰が告発すべきなのだろう。
「誰でもできます。兵庫県民でも県民以外の一般市民でも、第三者委の報告書を元にすれば可能です」(若狭弁護士)
斎藤知事の告発に動いている県議もいるというが。
「刑事告発はすべきだと思います。第三者委もしっかり調べたと思いますが、警察当局などの捜査機関や司法当局の下できちんと調べた上で結論を出すことが本来のあるべき姿だと思いますし、斎藤知事にとってもいいことだと思います」(若狭弁護士)
斎藤知事の首に鈴をつけられるのは国家権力だけかもしれない。