今季初勝利のG戸郷は赤星に刺激を受けたか…泉口は門脇との遊撃争いから完全に抜け出した【柴田勲のコラム】

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田中瑛は1イニング丸々使うタイプではない

 ヤクルトを3タテしたが、24日の第2戦ではオヤッと首をかしげるシーンがあった。無失点と好投していたフォスター・グリフィンを6回で降ろして7回から田中瑛斗を起用した。

 この時点で2点差だった。イヤな予感がした。案の定、田中瑛は先頭・増田珠の右翼線二塁打コースの当たりがトレイ・キャベッジの処理のもたつきもあって三塁打となった。

 この後1死三塁となり、代打・西川遥輝に適時打を浴び、なお岸田行倫の捕逸の後に代打・宮本丈に同点打を許した。

 田中瑛は22日の阪神戦で無死満塁のピンチで起用されて切り抜けている。これを買ったのだろうが、田中瑛はシュート投手で1死一塁、1死一、二塁といった場面で併殺を狙って使うタイプだ。

 開き直ってシュート、シュートと投げ込んでいく。普通の投手ではない。1イニング丸々使うタイプではない。ヤクルトに一時は流れを渡す采配となってしまった。ここは中川皓太だったろう。そして大勢からライデル・マルティネスとつないでいく。

 結果として泉口友汰の決勝2点タイムリーで連勝できた。この一打がなかったら、どうなっていたか分からない。

遊撃で2割7~8分を打てれば立派

 その泉口だが、門脇誠との遊撃争いで完全に抜いたと思う。現在、打率は2割7分だ。一方、門脇は2割3厘だ。代える必要がない。遊撃で2割7~8分を打てれば立派なものだ。守備は門脇に比べれば少し落ちると思うが悪くない。

 若林楽人がそうだが、門脇も甘い球を見逃してボール球を振っている。エリエ・ヘルナンデスにもその傾向が見える。

 監督からの信頼を失うのは、見逃せばボールの球に手を出して追い込まれることだ。さらに2ストライクと追い込まれたら、どんな球にでも対応しなければならないのに、それを見逃して三振をしてしまうこと。監督にすれば「なんで振らないんだ!」と言いたくもなる。いまの時代、いくら監督でも言えないことがあるが本当はこう言いたいのである。

 泉口はボール球にむやみやたらと手を出さずに打てる球、甘い球をしっかりと捉えてものにしている。レギュラーを取る選手だ。門脇も一時はレギュラーを取る勢いだったが、その勢いが止まっている。やはり何かあるのだろう。

丸佳浩の復帰は期待材料

 前回は「チーム一丸となって乗り切ってもらいたい」と締めたが若い選手たちがよく頑張っていると思う。

 27日からはケガで2軍調整中だった丸佳浩が復帰してくる。丸のような実績がある選手がベンチにいるだけで違うものだ。ヘルナンデスに代わってスタメン出場してもいい。

 その27日から広島相手に北陸シリーズ2連戦。ここまで広島に3勝6敗と苦戦している。最低でも1勝1敗にして、その後の中日3連戦(バンテリンドーム ナゴヤ)に臨んでもらいたい。

(成績などは26日現在)

柴田 勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会理事を務める。

デイリー新潮編集部

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