「手相を見ています」「生活意識調査のアンケートを…」 解散命令が下った「旧統一教会」 元信者が明かす“布教マニュアル”の全貌
千代田文化放送
私が信者時代に所持していた勧誘マニュアルがあるが、次のような文言が書かれている。
街頭での「声かけ」の例として、「こんにちは(命がけの笑顔で)、不躾(ぶしつけ)に申しわけありません。千代田文化放送なんですけれど、今、ビデオライブラリーの紹介インタビューをしているんです(取材協力お願いします)」と話すようになっている。
「千代田文化放送」というものは存在しないので、ウソをつくようにとの指示である。(勧誘の際の)ポイントとして「言葉は何でもかまわないと思います」とあり、伝道をする上ではこうした「ウソ」が許され、推奨されていたことがわかる。
執拗に勧誘
マニュアルには、街頭で声をかける際につかうアンケートの目的についても書かれている。
「相手のウィークポイントや問題意識をさぐりつつ、心情交流をする事にあります」としている。
足を止めた人への話の持ち掛け方の例として「今一番、大切にしている人は誰ですか」「今一番、熱中している事は何ですか」などの質問をあげている。こうして相手の個人情報を把握して、組織的に罠にはめようとしているのだ。
この言葉の下には、「たとえ、『別に考えてない、現状に満足だ』と言われても、決してひるまない」とあり、執拗に勧誘を続けるようとの指示もされている。
タワー長とトーカー
信者時代に私が、教団の教えとしてメモをとったもののなかに、ビデオセンターに誘うまでの方法が載っている。事前に連絡を取り、駅などで待ち合わせをしたゲストを勧誘場所に連れて行くことを「動員」といい、ビデオセンターで自己啓発の勉強をする契約の決定をすることを「コース決定」というが、メモの「動員から→コース決定までの流れ」という項のなかには、「待ち合わせ(の)ゲストが来たら、タワー長にTELを入れる」とある。タワー長とは勧誘の際の指示を事細かにする人物で、信仰歴や布教活動が長い責任者がこの立場につき、逐一、ゲストの状況を報告連絡相談しながら、どうやって来場したゲストを契約させるかの策を練る。また、「アンケートができたら、タワー長に提出し指示に従う。トーカーと打ち合わせてゲストのところにいく」ともある。
トーカーとは、連れてきたゲストの契約の説得役のことである。来場したゲストには必ず、アンケートを書かせて、個人情報を把握する。アンケートには、本人の趣味や性格、さらには「もしものための貯金は?」という項目もあり、お金をどのくらい持っているのかを把握する項目もある。これを見て、具体的にどのようにして教団施設に誘い込むのかを考えるわけだ。
さらに「トークが始まって40分したら、タワー長に状況を報告」ともあり、勧誘の進行状況を詳細に責任者であるタワー長に伝えながら、ゲストへの効果的な契約の戦略をたてていくことになる。
トーカー、担当者は逐一、タワー長に報連相して、話を進めることになる。
その下には、図も載っており、組織的に勧誘していることがわかる。
頂点は「タワー長」(神の立場)で、左下に「トーカー」(メシヤの立場)とあり、右下に「担当者(連れてきた信者)」(洗礼ヨハネの立場)となっている。この三人が一つになって、最下層にある「ゲスト」に話をして、お金を払わせて契約させる。
【後編】では、高額商品販売のマニュアルについて詳述している。記事中の筆者の指摘についての旧統一教会の回答も記載している。
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