支持率続落でも「国民民主」が「山尾志桜里」擁立のナゾ 「勢いある党には“事故物件”が寄りついてくる」

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 夏の参議院議員選挙を前にして国民民主党が失速した。報道各社の5月の世論調査では支持率が軒並み急落し、SNSでも批判が殺到。玉木雄一郎代表(56)は参院選後の政界再編で首相への意欲を語っていたが……。

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 国民民主が躍進したのは2024年10月の衆院選だった。現役世代を重視した“手取りを増やす”政策、中でも特定扶養控除の対象となる「103万円の壁」撤廃が支持され、小選挙区11議席、比例代表17議席、公示前の4倍と計28議席を獲得して躍進した。比例代表では名簿の登載者が足りなくなり、次点の政党に議席が割り振られたほどだ。

 その国民民主の支持率が急落した。報道各社の世論調査(5月16日以後に実施)はいずれも、国民民主の支持率が4月と比べ減少する結果となった。

●朝日新聞 12%→8%
●読売新聞 13%→11%
●毎日新聞 15%→13%
●共同通信 18・4%→13・2%

 支持率急落の原因は、参院選比例代表に擁立が決まった候補者の顔ぶれだという。国民民主は5月14日、参院選比例代表の公認予定候補を発表。前衆院議員(日本維新の会)の足立康史氏(59)、元衆院議員(国民民主)の山尾志桜里氏(50)、前参院議員(立憲民主党)の須藤元気氏(47)、元参院議員(みんなの党)の薬師寺道代氏(61)の4名の擁立が発表された。政治部記者は言う。

「そもそも4月22日に擁立候補として各氏の名前が挙がったときから批判の声がありました。維新の衆院議員だった足立氏は大阪選挙区での擁立を考えていましたが、“暴言王”の異名をもつ彼は労組批判を繰り返していた過去があり、連合から支援に難色を示されたため選挙区での擁立を断念。山尾氏は過去の不倫報道、須藤氏は反ワクチン活動などが取り沙汰され、いったんは正式決定が先送りされたのです」

 それが今回、正式に候補者として発表されたことで支持率が落ちたというわけだ。

悪名は無名に勝る

「特に批判の的となっているのが山尾氏です。4月の擁立報道の際、国民民主の平岩征樹・衆院議員(45)が過去に不倫をしていたことを自身のホームページで明かしたため、彼女の不倫報道も蒸し返され、さらに、昨年11月に不倫が報じられて党役職停止処分を受けた玉木代表にも飛び火。SNSでは『不倫容認政党』と炎上しました」(政治部記者)

 なぜ国民民主は彼女を擁立したのだろう。政治評論家の伊藤惇夫氏に解説してもらった。

「勢いがあった頃の日本維新の会とよく似ています。他の政党の元議員とか落選した人とか、いわゆる“事故物件”が勢いある政党に寄りついてくるんです。今回は国民民主の側から声をかけたというけれど、勢いのある党だから乗る人も多い。ただ声をかけた相手が事故物件だったということでしょう。勢いのある今であれば、永田町の手あかにまみれていない、もっと清新な人を擁立できるはずなんですが、なんでこういう擁立方式をとったのか不思議です。話題性を取ったということかもしれませんが」

 人気があると踏んだのだろうか。

「人気がなくとも話題性はありますからね。悪名は無名に勝ると言いますから。玉木代表だって不倫問題が封じられても人気は下がりませんでしたから、ここまで不評とは考えなかったのかもしれません」(伊藤氏)

 中でも山尾氏に対する批判が多いのはなぜか。

「彼女は不倫問題やJRの議員パス不正使用などが報じられて、きちんとした釈明もないまま政界を引退。一度は身を引いた人が掌返しというのにも不信感があるのでしょう。また、ある意味、国民民主の前身である民進党を潰した一人と言われるのが彼女ですからね」(伊藤氏)

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