「小泉進次郎」はホントに農水相に適任なのか “JAに骨抜きにされた”9年前の「農協改革失敗」を振り返る

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異例のブリーフ

 だが、不思議なことに官邸や党内から進次郎議員への批判は全く聞こえてこない。さる農水族議員は、

「実際の議論は農林部会の西川公也さんら7名の重鎮議員と共に進めていました。小泉さんは、先輩を立てたのか、自分の意見を声高に主張するようなことはありませんでした。部会でも議員からの異論はナシ。党のスターですから、深い傷を負わせてはいけませんし、よくまとめたと思います」

 政治部デスクが言う。

「進次郎の責任を問う声は出ていません。というのも、彼は次期衆院選では再び、全国を応援演説で回ることになります。もし、彼を批判し、応援に来てくれなかったら大変ですよ。彼から逆に名指しで文句を言われるようなことがあったら、事務所には抗議電話やメールが来るでしょう。それほど、進次郎の人気は未だに高い。ですから、誰も表だって批判する者はいないのです」

 冒頭、紹介した発言のウラはこうだ。

「実は、25日に進次郎が“私の思いを聞いてくれ”と、党本部で記者を集め、異例のブリーフが開かれたのです。そこで彼は“1年という年限を外したけど、みんなの会社だって1年でどうなるか、なんて分からないでしょう”、“年次計画の部分は守れた”と、言い訳していました。しかし、計画を出させるだけで、農協に任せきりでは改革は進みません」(同)

 さらに、吉田茂元首相を渡辺謙が演じたNHKドラマ「負けて、勝つ」を引き合いに出し、

「“あれは最高のドラマだから、是非見てほしいなあ。ふと、この言葉が降りてきたよ”と。正直、負け惜しみのようにしか聞こえませんでした」(同)

 人気の割には、政治家としての実力がまだ伴っていない。ご本人が一番良く分かっているはずである。

 ***

 それから9年の時を経て、小泉氏は日本の農政の最高責任者となった。昨秋の総裁選に立候補し、ポスト石破の1人に数えられる中、その舵取りに大きな注目が集まっている。再び改革が失敗に終われば、首相の道は遠ざかることとなりそうである。

デイリー新潮編集部

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