「専従職員は“職業革命家だから”月90時間残業しても残業代ゼロ」日本共産党 の“違法残業”を暴いて除籍された30歳&26歳の元女性党員が実名告発

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主要8政党で「職員を労働者として扱っていないのは共産党だけ」

「もうこの組織に自浄作用は期待できないと考えたからです。私たちと行動を共にしていた福岡民青の元専従職員Bさんの月90時間以上の残業が常態化していました。厚労省が過労死ラインとして定めているのは月80時間で、大きく超えています。さらに調査を進めると、福岡共産党では就業規則がなかったばかりか、従業員を残業をさせる際に必要な『36協定』を締結していないこともわかった。明らかな労働基準法違反です」(羽田野さん)

 羽田野さんはこのような違法残業は、福岡ばかりでなく全国の組織でも同じ状況ではないかと考えた。そこで、SNSで共産党の労働環境を調査したいと呼びかけると、32人の共産党と党関連団体の専従職員が協力してくれたと語る。
 
「回答者の47パーセントが80時間を超えた残業を強いられていると回答し、残業代不払いは100パーセントでした。共産党内部では『専従者論』という考え方があり、そこでは専従者は労働者ではなく『職業革命家』とされ、労働法令には縛られないとされていたのです。言うまでもなく、恣意的かつ時代錯誤的な考え方です。他の政党が専従職員をどう扱っているかについても電話するなどして調べましたが、日本の主要な8政党のうち、労基法を遵守せず、職員を労働者として扱っていないのは共産党だけでした」(羽田野さん)

 砂川さんたちの訴えで福岡中央労働基準監督署は動いた。昨秋、同署は日本共産党福岡県委員会に対して、労基法で義務付けられた就業規則の提出を怠り、労働安全衛生法で義務付けられた労働時間の管理もずさんだったとして、是正勧告を出したのである。

除籍を通知する文書に書かれていたこと

 だが、2人は告発の代償として、党と民青から除籍処分を受けることになった。

「1月に行った県委員長を決める役員選挙での落選運動について『民青県委員会を破壊し、乗っ取ることを狙った分派的活動』とされました。福岡県委員会で私たちと同じように党の方針に異を唱えただけで党職員を解雇されてしまった仲間の解雇撤回を訴える活動に加わったことについても除籍理由の一つにされました」(砂川さん)

 除籍を通知する文書にはこう書かれていた。

〈党機関は教育的援助の努力をつづけてきましたが、あなたはそれを理解しようとせず、党規約に反する行為をつづけました。以上のことから、あなたは、党規約を守って活動する意思がなく、みずから党員の資格を失ったものと判断します〉

 砂川さんはこの決定にこう憤る。

「組織内で起きているパワハラをなんとかして欲しいと訴え出て、労基法違反の是正を求める行為のどこが当規約に反するのでしょうか。ご存知の通り、共産党は年々党員が減少して、機関誌『しんぶん赤旗』の運営存続のため10億円の寄付を募り始めるなど、党勢が衰退しています。党を存続させていくには私たち若い世代の支持が必要な状況なのに、いつまで経っても上位下達な運営を変えようとしない組織なのです」

 羽田野さんの指摘はさらに手厳しい。

「根深いのは党幹部だけでなく、一般党員たちも私たちの訴えに関心を持とうとしなかったこと。今の共産党員にとって党は上が決めた決議を信じるだけで救われようとする宗教のような組織になっています。労働者が選択権を持つ形で、社会の暴力を改善することを目指す共産主義はこの党の中には存在しません」

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