「実家はビル、マンションを所有する資産家」 東大前駅刺傷事件、43歳男の人生 知人は「人付き合いが下手で、常に一人でいた」

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常に一人で行動

 いずれにせよ、と捜査関係者。

「戸田は自らの行為を自分勝手に正当化しているに過ぎない。取調べに“経済的に困窮していた”と話しており、単に、自暴自棄になって事件を起こした可能性もあるとみています」

 そして、こう続ける。

「彼が東京の中野区で暮らしていた3年前、生坂村の“空き家バンク”経由でいまの家を約100万円で購入し、移り住みました。が、中野でも生坂村でも、実際は無職なのにIT技術者を自称して定期的な収入があるよう装っていた。これには、愛知の名古屋市で裕福な家庭に生まれ育った影響もあると思われます」

 どういうことか。戸田家を知る人物が口を開いた。

「親の教育への入れ込み具合や、戸田がどこでゆがんだかは分かりませんが、小学生の頃から変わった子どもだったのは事実です。勉強ができなかったわけではなく、人付き合いが下手で、常に一人で行動していた印象がある。なのに突然、同じクラスの子に唾をかけたり、人が嫌がることをしていたと聞きました」

 中学に入ると、完全に孤立した。

「喋らないわけじゃないけど友だちはいなかった。なぜか一人で空手だか太極拳だかのポーズを取ったりするので不思議がられていた一方、成績は悪くなかった。かと思うと何日か続けて休んで、また出てくる。今回の事件の報道で、それが不登校だったのかと気付きました」

繁華街付近にビル、マンションを所有

 高校を出てからのことは、人づてに聞いたという。

「自分で勉強して司法試験を受け、何度か落ちたと聞きました。戸田の父親は会社員で母親は専業主婦。ですが、有名な繁華街付近にビルやマンションを持っている資産家でもあったので、経済的には恵まれていたようです。7~8年前、30半ばで東京に出ていくまで、戸田はそのビルに長いこと住んでいましたから」

 なお、それら不動産の共有者には戸田容疑者も名前を連ねている――。

 名古屋から東京へと移り、長野に流れ着いた43歳。山奥に一人で暮らす中で親や世間へのゆがんだ憎悪を募らせた結果、狂気が芽生えたのか。

週刊新潮 2025年5月22日号掲載

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