契約書に「全ての財産を遺贈する」の文言が… 高齢者を食いモノにする悪徳「身元保証サービス」の驚くべき実態
消費生活センターへの相談件数も急増
その実態について広く知られるきっかけとなったのが、2016年、当時2000人もの契約者を抱えていた日本ライフ協会が経営破綻した“事件”である。
「同協会は、利用者がサービスを受けるために預託していた金銭を不正に流用した上で破産し、約2000人分の預託金の返還ができなくなりました。その額は5億円近くにも及びます。預託金の管理には弁護士を介在させる三社契約の形をとるはずだったのが、いつしか協会が直接管理するようになっていたようです。こうした杜撰な運営方法なども重なって起こった事件ですね」(沢村氏)
かくして高齢者の終身サポートという事業が世に認知されることになったのだが、それ以降もなかなか是正は進んでいない。国民生活センターによれば、同事業に関して消費生活センターに寄せられた相談件数はむしろ増加傾向にあり、2019年度は133件だったのが、5年後の24年度には313件にまで増えている。
「身元保証サービスの解約に関する相談、事業者が信頼できるのかという問い合わせ、さらには『受けていた説明よりも高額になった』『付帯されているはずのサービスが提供されていない』など、料金や契約内容に関わる相談も寄せられています」(国民生活センターの担当者)
沢村氏は、
「もともとは地域社会が家族代わりになってやっていたようなことが、ニーズの広がりによって事業化されてきたような世界ともいえます。ですから業界としてまだまだ未成熟で、料金の相場などもない状態なんですよね。あるいは10人以下の小規模事業者が大半ですから、契約当初は問題がなかったとしても、利用者が年齢を重ねていくごとにサポートしなければならないことが増えて、事業者のキャパシティを超えてしまっていることも考えられます」
こうして発生するトラブルの最たる例が、冒頭に紹介したような「遺贈」に関するものだ。後編の記事【弁護士から宗教法人まで…高齢化で激増する「身元保証」「終身サポート」 信頼できる事業者はどう選べばいいのか】では、財産の全額を事業者に遺贈することもあるという慣例の実態や、適切な事業者の選び方などについて詳述している。





