「敷2礼2」は全国共通じゃなかった? 家賃10万円弱の物件で「初期費用が100万円超」のケースも

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業者ごとのルール

 これはさすがにあり得ない。不動産屋には「私はそこまで払えません」と伝え、2DKで6万2000円の部屋を借りることにした。ここは、敷金と礼金は1ヶ月ずつで、謎の「協力費」はない。エアコンはDKに一つ設置されていてラッキーである。寝室にエアコンを設置し、これでこの4年半乗り切ることができた。2DKのうちの1つの部屋は結局使い道がなく、放置しているため、エアコンは不要だ。

 無事部屋を借りられたのだが、やはり謎は5LDKの部屋の条件である。敷金礼金がともに異常な4ヶ月で、謎の「協力費」が2ヶ月分。あの家に住んだ場合、その後「災害対策費」「景観謝礼費」など謎の料金を請求されていたのでは、と思うのである。

 この経験により、不動産屋というものは、個々の業者ごとのルールがあり、そこに納得しないのであれば、断るべし、ということを学んだ。2024年にしても、とある民家の2階を借りられることになった。風呂もトイレもあるのだが、誰も使っていないとオーナーが知り合いに話をして私に声をかけてきたのだ。

65歳以上は保証人になれない

 6畳の部屋2つ+キッチンで家賃は1ヶ月3万円。唐津に遊びに来る人向けに部屋を借りようとしたのだ。元々大家と直接契約をすることになっていたのだが、大家が突然「私にはお金のことはよくわからないので…」ということで急遽不動産屋をはさむことになった。

 不動産屋は当然、不動産手数料を取るという。それはいい。だが、保証人のことでモメた。私の父親は78歳だったのだが、「65歳以上の人は保証人にはなれない」と言われる。「いや、私の父は今でも年収1000万円を超えているのですがダメですか?」と聞いたらそれでもダメだと言う。

 結果的にこの物件の契約には至らなかった。これから地方に引っ越す方は、首都圏や関西圏の常識が別の地域では通用しないことがあるという事実を、覚えておいてください。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ、佐賀県唐津市在住のネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』『よくも言ってくれたよな』。最新刊は『過剰反応な人たち』(新潮新書)。

デイリー新潮編集部

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