DeNA「バウアー」完全復調のカギを握る「登板間隔」と「女房役」の存在 2年前と何が変わったか

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誰が捕手を務めるのか

 バウアーが初来日した23年シーズン、先発した19試合中18試合でマスクを被ったのが伊藤光(36)。その後、世代交代が加速し、チームのレギュラー捕手は山本祐大(26)に代わった。今季初登板となった3月29日は、その山本と組んで黒星スタートとなり、2戦目の4月16日は35歳の経験豊富な戸柱恭孝と組んだが、5回5失点と炎上。以後、松尾と組んで2勝(1敗)を挙げた。

「初登板となった3月29日は6回1失点。捕手との相性を指摘する声も出ましたが、投球内容は決して悪くありませんでした」

 と、山本を庇う声も多く聞かれた。しかし、その日のバウアーは初回のマウンドからバッテリーサインに首を振る場面が何度もあり、「投げにくそうにしている」との印象をファンに抱かせた。だからこそ、三浦監督も2戦目のパートナーを戸柱に代えたわけだが、こんな指摘も聞かれた。

「メジャーリーグ時代のバウアーは、捕手のことで批判的なコメントを出したり、配球面で注文をつけたりしたことはなかったはず。彼は真っ直ぐの威力やコントロールはもちろん、どの球種を要求されてもウイニングショットになるよう、徹底的に精度を高めてきた投手です。捕手を選り好みするタイプではありませんが、サインに何度も首を振るのは珍しいことです」(米国人ライター)

 バウアー自身はもちろん、DeNAサイドからも「バウアー・山本のバッテリー」の相性の悪さを懸念する声はもちろん出ていない。しかし、捕手に要求を出すことは彼が日本球界に本当の意味で馴染んで来た証なのかもしれない。23年シーズンのことだ。事実上の日本初マウンドとなった4月16日のイースタン・リーグ戦には、米国のメディアも取材に駆けつけていた。その登板後の囲み取材で米メディアから日本球界の印象を聞かれ、

「捕手のレベルが高い」

 と答えていた。試合でマスクを被ったのは益子京右(24)で、調整期間中、ブルペンで主にボールを受けていたのがルーキーの松尾だった。

 日本人捕手は捕球技術だけではなく、捕球音も響かせてくれる。かつ盗塁刺を狙った二塁へのスローイングも正確で、バウアーは素直にそれを認めていた。メジャーリーグのレギュラー捕手は打撃で選ばれることも多く、日本球界のように「守備型」と呼ばれるタイプのレギュラー捕手は少ない。

「26歳の山本と20歳の松尾で正捕手争いをさせるのは得策ではないとし、チーム内には松尾を内野手でも使うプランが出ていました。松尾の打撃センスを活かすためですが、バウアーのパーソナル捕手になったら、そのプランはいったん棚上げになってしまいます。捕手は試合前に準備することも多く、同時に捕手として試合に出たことでそのセンスも発揮しつつあります。捕手として競争させていくのであれば、松尾の出場機会は逆に減るかもしれません」(前出・スポーツ紙記者)

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