入学式から数日で行方不明…26年前に遺体で発見された「筑波大学女子学生」、行動を共にしていた「謎のイタリア人」

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 新年度を迎えた4月が慌ただしく過ぎ、ゴールデンウィークで“小休止”。入学や入社などで環境が大きく変わった人ほどありがたい時期だろう。だが、1999年のこの時期、筑波大学は重苦しい空気に包まれていた。2005年につくばエクスプレスが開通する前、「陸の孤島」と呼ばれていた名門大学で起きた不幸な事件とは。

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(「週刊新潮」1999年5月20日号「殺された筑波大女子学生『陸の孤島』の『孤独』」を再編集しました。文中の年齢等は事件発生当時のままです)

マネキンのように見えた

 一浪して憧れの筑波大に入学したAさん(19)が行方不明になったのは、入学式の3日後の4月10日。家族から捜索願が出されて警察も動いていたが、5月3日、他殺死体で発見されるにいたった。

「あそこは、うちの山なんだけど、うちでも毎年5月に篠竹を取りに行く程度で、めったに行かない場所。ほんとうに偶然でした」

 と言うのは、彼女の遺体の第一発見者となった農家の男性(63)。大学から10キロほど離れた市内の山林である。

「2日の夕方、竹を取り終わって帰ろうとしたときに、少し離れた藪の中に何かがあるのが見えたんです。最初は犬かなと思いました。ちょっと近づくと、それはマネキンのように見えました。あそこには冷蔵庫や洗濯機なんかを勝手に捨てていく人が多いんで、そう思ったのです。だからそのときは側まで行くことはしなかったんですが、でも、何か気になって、翌日警察に話したんです」

「あの人、イタリア人なの」

「遺体は白の下着と紺色の靴下しか身につけておらず、靴や服、その他の遺留品は発見されておりません。また首には布のようなものが巻き付けられていましたが、解剖の結果、死因は頸部圧迫による窒息の疑いということで、扼殺なのか絞殺なのか断定できていません」(つくば中央署)

 4月10日の夕方、Aさんはコンパへの参加を誘った友人に、「食事に誘われているから」と断って別行動をとった。

 それ以前から、彼女が学内で長身の白人男性と話しているのを何人もが目撃していたし、「あの人、イタリア人なの」と彼女の口から聞いた者もいる。

 地元記者は言う。

「状況からすると、犯人が女子学生を暴行しようとしたととろ、抵抗されたので思い余って首を絞めたとみるのが自然でしょう。しかし、この自称イタリア人については、警察が彼女の行方不明の段階から探しているのに、1カ月近くたっても判明していないということは、この先捜査はかなり難航しそうです」

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