“佐々木ロス”など関係なし…今季「千葉ロッテ」が最も警戒されるチームになっている理由
若手の台頭
もっとも、こうした憶測とは関係なく、「佐々木のメジャーリーグ志望の強さを確認し、2、3年前から球団が有事に備えてきただけ」とする球団関係者の声もある。
実際、今季は高卒3年目の田中晴也(20)が先発ローテーション入りし、同じく2年目の木村優人(19)も一軍で好投を続けている。両投手ともストレートに定評があり、他球団のファーム指導者からも一目を置かれてきた。
昨季、吉井監督は田中が試合中盤で息切れしても先発投手としての責任イニングを全うさせようと我慢する場面もあり、今季一軍昇格を果たした木村にはイニング跨ぎで登板させる試合もあった。「次に繋げるための起用法」であり、先発ローテーションに欠員が出た場合、「木村が行く」と見る関係者も多かった。
「木村と中森俊介(22)が『第2先発』というか、先発投手が早いイニングで交代することになっても、2人がゲームを立て直してくれます」(スポーツ紙記者)
中森は6試合に登板して1勝1敗1HP、防御率2.45。木村も同じく6試合に登板して1勝3HP、防御率0.82。佐々木のような圧巻のピッチングができなくても、将来のローテーション入りを期待させる好投を続けている。
「フリーエージェント交渉でソフトバンクから石川柊太(33)を獲ったのも大きなプラスでした。吉井監督が自ら付けていた背番号21を譲ったのも期待の大きさですが、先発登板した翌日の4月23日、夫人の出産に立ち会えるように球団は一軍登録をいったん抹消しています」(前出・記者)
チームの状態が良くない時期にも関わらず、「選手の生活」を優先した。その選手配慮ができる度量が他球団からの警戒心を高めているのだろう。
また、野手陣ではドラフト1位ルーキー・西川史礁(22)の加入が大きかった。
「キャンプ、オープン戦で結果を出して『開幕一軍』を勝ち取りました。二軍降格も味わいましたが、再昇格が決まった4月29日、吉井監督は5番レフトでスタメン起用し、西川もその期待に応えました」(前出・同)
同日の西川は4打数2安打を記録した。ファームでの再調整中、その打率は4割2分3厘。この走攻守3拍子の揃った新人の加入が他の若手選手の闘争心にも火をつけたようだ。18年ドラフト1位の藤原恭大(25)がワンランクアップ、23年1位の上田希由翔(23)もスターティングメンバーに名を連ねるようになった。とくに藤原は守備範囲の広さ、走塁センスなどで西川と被る部分も多い。
「昨季、キャリアハイとなる打率2割9分を残したんですが、好不調の波が大きく、成績が安定しませんでした。千葉ロッテは外野手が弱点のように言われて来ましたが、高部瑛斗(27)、ベテランの角中勝也(37)、岡大海(33)もいます。西川が加入し、今踏ん張らなければレギュラーになれないくらいの危機意識が広まっていました」(前出・同)
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