「人格否定発言」から21年 雅子皇后を悲嘆させた「朝日スクープ」と宮内庁の思惑

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他にやるべきことがある

 それは何も宮内庁だけの考えではなく、なによりも天皇、皇后両陛下も、お世継ぎの誕生を強く望まれていたのである。

「お役人は、常に天皇のお考えを感じ取って動きますから、お世継ぎの出産を外遊よりも優先することに天皇の御意思がなかったとは言えません」

 と、宮内庁関係者は続けていう。

「雅子さまにとっては、皇室外交ができないことは、とてもお辛いことだったと思います。しかし、外遊に際しては、外遊中の2週間だけでなく、前後に準備のための時間が必要です。外遊先ではハードスケジュールですから、行く前に準備期間として2ヵ月、帰国後も1ヵ月ほどのお休みを取られます。そこまでエネルギーを使うなら、他にやるべきことがあるでしょう、という考え方が宮内庁にはあったのです」

上皇陛下の意思

 とはいえ、宮内庁だけの判断で、外国訪問を見送るというわけにはいかない。

 宮内庁関係者はこう語る。

「皇太子ご夫妻の外遊は、一般的に相手国からの招待を受けて、宮内庁が決定しますが、その際に天皇陛下にもご相談します。陛下は直截にものをおっしゃったりはしませんが、陛下の意思を無視して宮内庁だけで決定することはありえない」

 一般論とはしながらも、宮内庁も認めている。

「皇族方の外国訪問につきましては、宮内庁が皇室のご意向も踏まえながら対応しております」(宮内庁総務課報道室)

 なかなかご懐妊の兆しがみえなかった雅子妃にとっては、お世継ぎ問題のプレッシャーは相当なものであっただろう。

 皇太子殿下と雅子妃が、海外を公式訪問されたのは、ご成婚直後の平成6年と7年の中東訪問。それから7年の歳月が流れ、愛子さまご誕生後の平成14年に、ようやくオーストラリア、ニュージーランドへの公式訪問が実現したのである。

 だが、その間にも、ご夫妻が深い悲しみに襲われる悲劇が起こった。

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