「オサマ・ビンラディン急襲作戦」を描いた映画2本の共通項とは…なぜかGWに多い“映画化された作戦”

エンタメ 映画

  • ブックマーク

ビンラディンを10年追い続けたCIA

【2011年5月2日:ネプチューン・スピア作戦】

 2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロ。その首謀者であるオサマ・ビンラディンがパキスタンの隠れ家で殺害されたのは、2011年5月2日(米国東部夏時間1日)のことだった。あらゆるメディアの題材になった「ネプチューン・スピア(海神の槍)作戦」である。

 この作戦を題材とした「ゼロ・ダーク・サーティ」(2012年)と「ネイビーシールズ:チーム6」(2012年)は、見比べが楽しい2本だ。

 キャスリン・ビグロー監督の「ゼロ・ダーク・サーティ」は、架空の人物であるCIA分析官のマヤ(ジェシカ・チャステイン)を主人公に、ビンラディンの行方を追い続けたCIAをメインとする。政治サスペンスの要素が強く、米アカデミー賞5部門ノミネート(音響編集賞受賞)など、米国内外の映画賞で高い評価を得た。

「オッペンハイマー」(2023年)や「華麗なるギャツビー」(2013年)などで知られるジェイソン・クラークや、マーベル映画でブレイクする前のクリス・プラット、「裏切りのサーカス」(2011年)から「シャザム!」シリーズまで変化自在のマーク・ストロングなど、脇の俳優陣も手堅い。

オバマ大統領の手柄としては描かない

 ジョン・ストックウェル監督の「ネイビーシールズ:チーム6」はテレビ映画として製作された。メインは「ネプチューン・スピア作戦」を実行した米海軍特殊部隊ネイビーシールズのチーム6(DEVGRU)。彼らの私生活事情などヒューマンドラマ的な味付けが過多だが、隠れ家の特定を目指す現地諜報員の奮闘ぶりは見応えがある。

 どちらの作品も隠れ家への突入が大詰めとなり、ビンラディン邸に向かったヘリ2機のうち1機が敷地内に不時着したことや軍用犬の同行など、当時判明していた事実は共通して描かれている。オバマ大統領(当時)の手柄というより、政治的駆け引きの一部とする部分もおなじだ。

「ゼロ・ダーク・サーティ」は暗視カメラ映像、「ネイビーシールズ:チーム6」は隊員のボディカム映像を多用し、臨場感を盛り上げる。CIAとネイビーシールズ、重要任務をやり遂げたヒーローたちもまた人間……というニュアンスが強い。とはいえ現実では、ビンラディンを撃ったとされる隊員が退役後の貧困を訴えるなど、大団円と言えないようだ。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。