「『不仲だ』『いじめか』といろいろ言われて」アイドルグループで自分以外全員が卒業の異例事態…一人残されたメンバーの決意とファンの感動行動

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ファン離れの心配…過去には誹謗中傷も

 メンバーのほとんどが卒業するとなると気になるのがファン離れだ。

 青柳はもともとは重度のアイドルオタク。かつてフジテレビ系「アウト×デラックス」に、アイドルをやりながら、稼いだお金をすべてアイドルのために使ってしまう“究極のアイドルオタク”と紹介されたこともある。ファン視点も持つ青柳だからこそ、新旧メンバーの交代に対する厳しい視線も、痛いほど理解している。

 実は青柳が加入した2020年もアップアップガールズ(仮)は現在とよく似た状況だった。5人中4人が卒業し、オリジナルメンバーである関根梓だけが残留。メンバーはほぼ総入れ替えとなったが、そこにファンからの批判が集中した。

「加入して最初の2年ぐらいは批判、誹謗中傷が本当にひどかったんです。『アップアップって解散したんでしょう』とか『今のメンバーを見たけど、誰も知らないわ』と言われたり。以前のファンの方から『俺たちの青春の曲をお前らが勝手に歌うなよ』とか言われたりして」

 そうした声から守ってくれたのがオリジナルメンバーの関根だった。

「今のメンバーも応援してね」「元は誰押し? じゃあこの子がおすすめだよ」と、ファンに呼びかけ新メンバーをつなぐ架け橋になってくれたという。

「私はアイドルオタクだから、ファンの気持ちもわかるんですよ。『推しのセンター曲を違うやつがセンターで歌うな』とかたぶん思っちゃうので。その気持ちはわかるんですけど、でも私たちと同じ思いを後輩にしてほしくなくて。私は関根さんの背中を見て育ったので、同じことしてあげようって思ってます」

卒業発表で涙の中…「私のファンはケロッと(笑)」

 青柳によれば卒業発表後のファンの反応も印象的だった。

「発表の後にインストアイベントがあったんですが、公開リハーサルで出た時点でファンがもう泣いているんですよ。本番になって『卒業発表させていただきました。これからも頑張ります』と言った後に、去年出したこの5人で頑張ろうねみたいな決意表明の曲をやったら、ファンが泣いて、つられてメンバーも泣いてました。ただ私や私のファンはケロッとしていて(笑)」

「卒業発表したから他のメンバーのファンがイベントに来る頻度が高くなるのはわかるじゃないですか。でも、私のファンも無理して来ているんですよ。『青柳を孤独にさせちゃいけない』って。辞めるメンバーのファンも『今ぐらいの頻度では無理だけど、推しが辞めた後も行ける時はライブに行くからね』と言ってくれて。優しいなって思います」

 青柳たちがグループに加入した時、批判もあった一方で「今もグループの歌を歌い継いでくれてありがとう」「フロアから『アッパーカット!』(注:グループの代表曲)が聞こえるとぶち上がるから嬉しい」と言ってくれるファンがいた。それが青柳の原動力になっている。

「モーニング娘。さんは世代交代を何回もしているのに、ずっと続いていてすごいなって感じています。私もアップアップガールズ(仮)には100年続いてほしいなと思っているんです。さすがに100年後に私はアイドルをやっていないと思うんですけど、でも120歳まで生きるつもりなんで。100年後、私がおばあちゃんになった時にまだテレビから『アッパーカット!』が聞こえているといいなって」

 幸せな120歳を迎えるためにも、まずは2025年を全力で走るつもりだ。

徳重龍徳(とくしげ・たつのり)
ライター。グラビア評論家。ウェブメディアウォッチャー。大学卒業後、東京スポーツ新聞社に入社。記者として年間100日以上グラビアアイドルを取材。2016年にウェブメディアに移籍し、著名人のインタビューを担当した。その後、テレビ局のオウンドメディア編集長を経て、現在はフリーライターとして雑誌、ウェブで記事を執筆している。著書に日本初のグラビアガイドブック「一度は見たい! アイドル&グラビア名作写真集ガイド」(玄光社)。noteでマガジンを連載中 X:@tatsunoritoku

デイリー新潮編集部

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