トランプ大統領「日本人はアメ車を買わない!」のウラで…バンス副大統領は「人生で初めて買った車はホンダのシビック」と告白していた
海兵隊を選んだ副大統領
貧困層を対象とする奨学金を利用し、バンス副大統領はオハイオ州立大学に進学することを一度は決断した。しかし「普通の人生」を知らない不安から、大学生として一人暮らしができるか自信が持てない。
何しろミドルタウンで多数派を占める貧困層は食生活ならジャンクフードが中心、炭酸飲料の飲み過ぎで歯はボロボロ、勤労意欲が低いため簡単なバイトも休みがちで、家計は借金だらけだ。我が子にクリスマスプレゼントを購入するため、犯罪で金を得ようとする両親も決して珍しくない。
そこでバンス副大統領は高校を卒業後、海兵隊に入隊することを決める。大学の学費を自分で稼ぐという目的もあったが、何よりも普通で健全な日常生活を送れる社会人になりたかったのだ。
結論を先に言えば、副大統領の判断は正しかった。規則正しい生活、栄養バランスの取れた食事。海兵隊員として仕事に従事することで、貧困と虐待で著しく低下していた自己肯定感を取り戻すことに成功した。一人の社会人として普通に生きていけることを学んだのだ。
「彼の自伝で興味深いのは、海兵隊では新兵のため給与をバランス良く使う家計管理や、貯金や投資の意味を教える授業も用意されていることです。自伝によると初任給は1500ドル(約21万円)。すぐに先輩の隊員がバンス副大統領を海軍の信用金庫に連れて行き、口座を作ってくれたと回想しています。海兵隊は民間企業とは異なり、勤務時間が終わっても身だしなみや部屋を清潔にしているか上官がチェックします。バンス副大統領の母親は育児放棄も日常的だったので、プライベートに積極的に介入し、規律を守らせる海兵隊の伝統に自伝で感謝しています」(同・記者)
BMWからホンダへ
初任給を預金する銀行口座でさえ先輩が指導してくれるのだ。海兵隊に入って初めて車を買う時も同じだった。自伝の該当部分をご紹介しよう。
《初めて車を買いに行ったときも、上官が年長の隊員を指導役として私に同行させたので、本当はBMWが欲しかったのに、実用的なトヨタやホンダといった車に落ち着くことになった》
《23歳の誕生日の数日後、私は人生初の大きな買い物をした。手に入れた中古のホンダ・シビックに乗り込み、除隊書類とともに、ノースカロライナ州チェリーポイントからオハイオ州ミドルタウンまでの最後の家路についた》(関根光弘・山田文訳)
バンス副大統領が生まれて初めて買った車のメーカーはホンダだった。しかも、最初に思い描いていたのはBMWであり、それを上官が日本車に変えるよう説得したのだ。バンス副大統領も上官も、アメリカ車を全く想定していないというのは衝撃的な事実だろう。
「アメリカでレンタカーを借りた人から面白い話を聞いたことがあります。大手のハーツに行くと、何かのキャンペーンでアメ車から日本車への“アップグレード”が期間限定で無料、と大々的に宣伝されていたそうです。どれだけアメリカで日本車が人気かよく分かるわけですが、トランプ大統領が関税で脅迫し、日本にアメ車の購入を要求するのは全くの反則技です。とはいえ、トランプ大統領を擁護するわけではありませんが、裏ワザを使わなければアメ車を日本人に買ってもらうのは不可能、ということなのかもしれません」(同・記者)
第1回【「トランプ大統領」が日本に難癖つけるも「アメリカ人すらアメ車を買わない」不都合な真実…米国内のアメ車販売シェアは“過半数割れ”との声】では、アメリカ車がアメリカ国内でも売れていない事実を、2023年の販売シェアから明らかにしている──。







