「ネットを張って要塞化」の自宅を井上組長は出て行くのか 2億7000万円の賠償命令で自宅が差し押さえ
融資をめぐるトラブルで
兵庫県神戸市にある神戸山口組の井上邦雄組長の自宅と大阪府豊中市にある2代目宅見組の入江禎組長の自宅が、土地・建物ともに差し押さえられたことが報じられた。井上組長の自宅をめぐってはこれまでに襲撃を受けた部分を中心に修繕工事が入っていること、それによって地元住民から不安の声が上がっていることもお伝えした通りだ(関連記事:神戸山口組の井上組長の自宅が「要塞化」 地元からのクレームの声が徐々に)。対立する6代目山口組による一方的な「抗争終結宣言」の影響も含め、レポートする。
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まずは、差し押さえの経緯について振り返っておこう。
2020年、事業資金を求めていた経営コンサルティング会社の役員は資産家のA氏を紹介された。その場で、ある人物(B氏)の負債2億5000万円を肩代わりしてくれればA氏から10億円を融資するとの説明を受けて役員は言われるがままに送金した。が、融資は叶わず、2億5000万円も返還されることはなかった。役員は2億5000万円をただ取られてしまったことになる。
井上、入江両組長に代表者責任が認められ
2021年になって、京都府警は神戸山口組傘下だった2代目宅見組の幹部らを詐欺と恐喝の疑いで逮捕した。A氏の正体は、この2代目宅見組の幹部だった。2億5000万円を肩代わりしてもらったB氏も同時に逮捕された。
コンサル役員はA氏が2代目宅見組の幹部だと知らず、後にそのことに気づいて返金を求めたものの拒否され、逆に組織の名前を出して脅されたということだった。が、逮捕された面々はいずれも不起訴(嫌疑不十分)となった。役員らはこの処分を不服とし、検察審査会(検審)に審査を申し立てた。検審はA氏らを不起訴不当、B氏を起訴相当とした。
検審は2代目宅見組幹部のA氏に融資の意志がなかったことを指摘。結果、上部組織トップの井上組長ら4人が起訴された。
一方、役員側は民事で井上組長らを提訴。1審の京都地裁は、一連の行為をヤクザのシノギとしての闇金融であり、ヤクザの威光を背景にした資金獲得行為と認定。暴力団対策法に基づく代表者責任を井上、入江両組長らに認め、連帯して約2億7000万円を賠償するよう命じ、高裁もこの1審判決を支持した。
「新たな家をすでに手配した」情報
役員側は両組長の自宅について競売を申し立て、神戸地裁が競売に向けた手続きを開始する決定を出し、土地と建物を差し押さえたというわけだ。
両組長側はこれを不服として最高裁判所に上告受理を申し立てているが、判決が確定後に支払いがなければ、裁判所が入札を実施し、強制退去の可能性も出てくる。
「井上組長は新たな家をすでに手配したなどといった情報も聞こえてきますが、それを余儀なくされるほど資金的にひっ迫していることはないようです。自宅を改修中だということもあり、賠償金を支払ってこのまま住み続けるのではないかと見ています。入江組長も同様に資金的に問題はなく、自宅を出ることはないのではないかと聞いています」
と、元山口組系義竜会会長の竹垣悟氏(現在は、NPO法人「五仁會」を主宰)。
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