「怪しい健康食品」はどうすれば見抜ける? トクホ、機能性表示食品はどちらを選ぶ? 専門家が徹底解説
医薬品の混入が発覚するケースも
健康食品を摂取する「意味」をしっかりと踏まえた上で、過去の「健康食品事故」を見てみましょう。
例えば、タイ北部などに自生するマメ科の植物である「プエラリア・ミリフィカ」は、美容効果があるなどと喧伝されたものの、摂取したことによってホルモンバランスが崩れ、月経が乱れるなどの被害が200件以上報告されたことがあります。なお、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所によれば、プエラリア・ミリフィカによる「バストアップ、美肌、アンチエイジング、不妊の改善などについての研究は一つも見当たりませんでした」とのことです。
また、勃起不全を改善するとうたう健康食品では、医薬品の混入が発覚するケースが後を絶ちません。確かに効くかもしれませんが、効果の喜びを享受する人がいる一方で何人もの死者が出ています。
悪質な事業者は、消費者心理を巧みに利用し、効くというエビデンスのない、あるいは効いたとしても極めて危険な「怪しい健康食品」を平気で売り出しています。実際、残念なことに、健康食品を巡る事故は絶えず起きているのです。
実は「一般食品」
それでは、消費者はどんな対策を取ればよいのでしょうか。当たり前の話ですが、「怪しい健康食品」は摂取しないことが最大の対策となります。しかし、そもそも健康食品に医薬品を混入させることは違法であり、商品パッケージに表示されませんし、また効くのか効かないのか、一般の消費者が研究論文をいちいち調べるのは至難の業なので、見極めようがありません。私たちが「怪しい健康食品」を避けることは不可能なのでしょうか。
答えは「否」です。健康食品を摂取する際には、食品だから“安全な薬”と考えず、はなから「怪しい健康食品」に手を出さないという極めてシンプルな原則を守ることで、消費者の安全は確保できます。
健康食品とは、実に幅が広く、かつその定義は曖昧です。特定保健用食品(トクホ)、栄養機能食品(ビタミンやミネラルの一部)、機能性表示食品は保健機能食品として国の制度下にあり、それ以外全てが「怪しい健康食品」です。
ここで重要なのは、「怪しい健康食品」は、国の制度下にないので、例えばコレステロール値を抑えるといったような機能性を表示することができず、実は「一般食品」であるという点です。それに対し、トクホや機能性表示食品は、国が許可を出している商品で機能性を表示できます。
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