勉強よりも「ガッツポーズの練習から始めました」 元プロ野球「GG佐藤」が明かす“合格率15%”の難関資格を半年でクリアする必勝法

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ダルビッシュに苦戦

 その高い集中力と、スコアラーと共に地道な分析を重ねたデータを意識しながら打席に向かい、相手投手と対峙していたと言うが……。いつも思い通りの結果が残せたわけではなかった。

「いろいろな投手と対戦しましたが、最も苦戦したのはダルビッシュ有投手(現、サンディエゴ・パドレス)でした。彼は変化球を7種類くらい持っていて、その全てが1級品ですから、対策を練るのが大変でしたね。しかもダルビッシュ投手は危険を察知する能力が凄まじくて、僕がバッターボックスでマウンドにいる彼と向き合った瞬間に、もう狙い球が見透かされたような感覚があるんです。だから、実際に打席に立ってみると、予想していたボールは一切投げてこない。でもランナーが溜まった場面で、『ここで絶対に投げてこないだろう』と思っていた緩いカーブを投げてくることもあって、対戦時には高いレベルの駆け引きが求められました」

 2011年までは埼玉西武ライオンズ、イタリアでのプレーを経て2012年の秋には千葉ロッテで2シーズンプレーし、2014年に現役を退いた佐藤氏は、その後は父の克彦氏が代表を務める(株)トラバースに入社。同社の副代表や関連会社の代表として、測量、調査、地盤改良工事、不動産売買などに携わってきたが、2023年に独立し、現在は神奈川県藤沢市に拠点を置く(株)シロクマニアの代表として不動産業に携わっている。

ポジティブの原動力

「最初は『これまで野球を続けさせてくれた父親に恩返ししよう』という思いで入社し、測量会社の2代目として頑張っていくつもりでしたが、日々の業務と向き合っているうちに『また子供の頃のように、父の期待に応えていく人生を繰り返すのかな?』という思いがだんだん強くなって。父には申し訳ない気持ちもありますが、自分の人生を自身で切り拓いていけたらなと思い、独立を決意したんです。収入も減りましたし、安定とは程遠い生活をしていますが、とても充実した日々を過ごせていると思います」

 今もさまざまな挑戦を続ける佐藤氏の背中を後押ししているのが、1年間プレーしたイタリアで仲良くなった知人に言われた印象的な言葉だ。

「イタリア人の知人と食事に出かけて何気ない会話をしている流れの中で、彼は『お前は仕事で結果が残せなければ、自分自身に価値がないと思っていないか?』と問いかけてきたんです」

 佐藤氏が「確かに……。思い当たるところがあるな」と思いながら話を聞いていると、彼はこう続けたという。

「俺たちイタリア人は、自分に価値があると思っているからこそ、仕事で結果も残せるし、どんな時も陽気で幸せに過ごせる。佐藤とは考え方が逆なんだ。だから、佐藤ももっと自身の素晴らしい価値を認めて、自分をもっと褒めるべきだ。そして、大切な妻や家族がいて、美味しいものが食べられている目の前に幸せに感謝しなさい」

 そんな佐藤氏の胸を熱くした言葉が、今もポジティブに生きる原動力になっているそう。

「僕はこれからもワクワクしながら取り組めることを見つけながら、自分自身の幸せに向かって突き進んでいきたいですし、ぜひみなさんにも自身で歩む道を選び、自分の期待に応えるような人生を送ってもらいたいです」と、今後に向けた意欲を語った。

 第1回【宅建に測量士補、保育士まで…引退から11年「GG佐藤」が難関資格に挑み続ける「最大の理由」とは】では、元プロ野球選手の佐藤氏が、引退後なぜ様々な資格取得に挑み続けているのか、その理由について語っている。

ライター・白鳥純一
 
取材協力 株式会社I for C

デイリー新潮編集部

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