新緑の季節に訪れたい穴場の城ランキング 3位は江戸城、2位は鳥取城、1位は?

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城域全体におよぶ理想的な復元整備

 第2位は中ノ御門の復元がなったばかりの鳥取城(鳥取県鳥取市)。関ケ原合戦後に入封した池田長吉が、中心を山麓に移して大改修したのが現在の城で、明治維新後に建造物は取り壊されたが、昭和30~40年代から石垣の復元や修復が重ねられてきた。

 平成28年(2016)からは大手登城路を幕末の姿によみがえらせる復元工事が開始され、同30年(2018)に内堀に架かっていた擬宝珠橋が完成。続いて大手門に相当する中ノ御門の復元工事に取りかかり、令和3年(2021)春、高麗門である表門が復元された。続いて中ノ御門を構成するもう一つの門である渡櫓門の復元工事がはじまり、令和7年(2025)3月に完成した。

 続いて城のシンボルだった二の丸三階櫓や大手登城路の太鼓御門の復元に取りかかるといい、今後も目が離せない。

 第1位金沢城(石川県金沢市)としたい。かつて城の整備といえば天守など「点」の整備で終わる事例が多かったが、近年は城郭を可能なかぎり「面」として整備する試みが増えてきた。そうした好ましい流れについては、拙著『お城の値打ち』(新潮新書)にも詳しく記したが、その最前線をいくのが金沢城である。

 現存する石川門、三十間櫓、鶴丸倉庫のほかの建造物は、多くが明治14年(1881)の失火で焼失し、城内にはその後、陸軍第九師団司令部が、戦後は金沢大学が置かれていた。だが、平成7年(1995)に金沢大学が移転すると、石川県が国から跡地を取得。発掘調査とともに、石垣や堀、建造物の復元整備事業が進められてきた。

 菱櫓、五十間長屋、橋爪門続櫓、橋爪門一の門、同二の門、河北門と復元が進み、令和2年(2020)7月に鼠多門が完成。今春からは二の丸御殿の復元に取りかかっている。金沢は外国人にも人気だが、金沢城は広いので人の動きも分散し、さほど混雑を感じない。広いので暑くなる前の訪問をお勧めしたい。

香原斗志(かはら・とし)
音楽評論家・歴史評論家。神奈川県出身。早稲田大学教育学部社会科地理歴史専修卒業。著書に『カラー版 東京で見つける江戸』『教養としての日本の城』(ともに平凡社新書)。音楽、美術、建築などヨーロッパ文化にも精通し、オペラを中心としたクラシック音楽の評論活動も行っている。関連する著書に『イタリア・オペラを疑え!』(アルテスパブリッシング)など。

デイリー新潮編集部

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