【プロ野球セ・パ週間MVP】を独自選出! 「ドラ4」投手による球団史に残る奪三振劇、両リーグで断トツの「打率4割」バッター

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 開幕から間もなく1カ月を迎えるプロ野球のペナントレース。セ・リーグは上位と下位の差が少しついたものの、パ・リーグは6チームのゲーム差が接近して、大混戦の様相を見せている。そんな中で輝きを見せた選手は誰なのか。4月22日から28日までの1週間でセ・パ両リーグから、それぞれMVP選手を選んでみたい。【西尾典文/野球ライター】

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圧巻の14奪三振

 セ・リーグで圧倒的なインパクトを残したのが、井上温大(巨人)だ。4月22日の中日戦で先発すると、立ち上がりの1回こそ2本のヒットを許したものの、2回以降は圧巻のピッチングを披露。

 最終的に8回まで投げて毎回の14三振を奪い、四死球0、1失点という抜群の内容で今季2勝目をマークして見せたのだ。巨人の日本人左腕で14奪三振を記録したのは2012年の杉内俊哉(現・投手チーフコーチ)以来であり、生え抜きとなると実に1969年の高橋一三以来となる。

 井上は前橋商から2019年のドラフト4位で巨人に入団しているが、左肘を手術した影響で2年目のオフには育成契約となっている。2022年に支配下復帰を果たすと、昨年はシーズン途中から先発に定着して8勝をマーク。11月に行われたプレミア12ではコンディション不良で出場を辞退した伊藤大海(日本ハム)の代役として初めて侍ジャパンに選出され、3試合に登板して3勝と見事な活躍を見せた。

 高校時代からフォームの良さには定評があったが、ここ数年で大きく成長したと感じるのが、ストレートの球威だ。ほぼ毎試合最速150キロ以上をマークしており、平均でも140キロ台後半を記録するようになった。

 また、両サイドにしっかり投げ分ける制球力を備えており、ストレートの被打率は2割を下回っている。さらに、今年は決め球となるフォークについてもブレーキと精度が向上したように見え、そのことがこれだけの奪三振に繋がったと言えそうだ。

 チームが現在、首位争いを演じているが、先発投手陣は菅野智之(現オリオールズ)が抜け、エースの戸郷翔征も開幕から不調で二軍での調整となっているだけに、井上にかかる期待は昨年以上に大きくなっている。そういう意味でも、チームのセ・リーグ連覇のキーマンとなりそうだ。

両リーグで断トツの「4割バッター」

 一方、パ・リーグからは太田椋(オリックス)を選出したい。特に先週で活躍が光ったのが、22日のソフトバンク戦だ。第1打席こそショートゴロに打ちとられたものの、それ以降は3打席連続でヒットを放つと、9回には左中間へのソロホームランを放ち、4安打4打点の大活躍を見せたのだ。

 さらに翌日のソフトバンク戦でも、第2打席に2試合連続となるホームランをレフトスタンドへ叩き込んでいる。その後の西武との3連戦では2安打に終わったものの、現時点で打率.400をマークしており、これは両リーグでもダントツ1位である。

 太田は天理時代から評判の内野手であり、2年夏には甲子園にも出場。2018年のドラフト会議で、小園海斗(報徳学園→広島1位)の外れながら、1位指名でオリックスに入団した。プロ2年目の2020年には早くも一軍で3本塁打を放って、存在感を示している。

 しかし、翌年以降は度重なる故障と守備の不安もあって低迷。ようやく昨年91試合に出場して96安打、打率.288と結果を残し、今年はここまでセカンドのレギュラーに定着を果たした。

 最大の持ち味は、ストレートに対する強さだ。22日の試合でも杉山一樹と尾形崇斗といった150キロを超えるボールが持ち味の投手のストレートを完璧に弾き返しており、尾形からはホームランも放っている。ストレートに対する打率は4割を大きく超えており、ここまで放っている4本のホームランのうち3本はストレートをとらえたものだ。

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