グローバル時代に「鎌倉シャツ」が“サプライチェーンの国内完結”に取り組む意外な理由

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「トランプ関税」に世界が揺れている。グローバル資本主義の一つの転換期だという見方もあるが、実はそれ以前からサプライチェーンをすべて国内で完結させる取り組みを進めていたのが、「鎌倉シャツ」ことメーカーズシャツ鎌倉だ。その戦略が意味することとは。社長自らが明かした。

※本稿は「週刊新潮」2025年4月24日号掲載の対談企画「経済アナリスト森永康平の ビジネスリーダーにドロップキック!」を再編集した記事です。

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 一度はコロナ禍で撤退するも、昨秋にニューヨークへの再出店を果たした鎌倉シャツ。現地での事業は好調だと自信をのぞかせるのは、同社の貞末奈名子社長その人だ。

「効率を求める工場ではできないような細かいところまでこだわって縫製しているので、現地の方々も驚いてくださって。見た目に表れない部分でも、着心地などに大きく影響してくるんですよね。その点も含めて、『やっぱり日本はすごいね』と言ってくださる方が多いです」

 まさに“ジャパニーズクオリティ”が評価されているといったところか。

「日本では6900円で販売しているシャツも、ニューヨークでは110ドル、オーダーシャツは160ドルで売っているのですが、あちらの方々は高いとも思っていないようで。同じ白シャツをオーダーでダース買いしていく方もいらっしゃいます。自宅が複数あるから、それぞれに置いておきたいんだとか」

 そしてこう続ける。

「高く売れている分、海外の売上が伸びると、営業利益率も大幅に高まっていきます。国内の販売価格をおさえ、かつ持続可能な事業を行っていくためにも、儲かるところでしっかり儲けていくことは大切だと思うようになりました」

 ある意味、海外で稼ぐことができている分、日本での販売価格が抑えられているという見方もできようか。

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