グローバル時代に「鎌倉シャツ」が“サプライチェーンの国内完結”に取り組む意外な理由

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サプライチェーンを国内で

 こうして「海外で稼ぐ」基盤を整えつつある一方、綿花の栽培にも乗り出し、原材料から製造まで国内で完結したシャツも作り始めているという。

「『しまなみコットンシャツ』という名前で、昨年末から販売し始めています。難しいプロジェクトではありますが、サプライチェーンをすべて国内で賄えるようになるというのは、一つ意味のあることなのかなと思っています。今、日本で流通しているアパレル製品のほとんどが輸入品で、輸入浸透率は98.5%にも及ぶんです」

 つまり国産比率は1.5%しかない。その上、廃棄が多かったり、輸送にかかるコストが大きかったりするため、「世界第2位の環境汚染産業ともいわれている」と貞末社長は続ける。

「だからこそ、そのサプライチェーンをすべて国内に収めることができれば、生産調整がしやすくなって無駄を減らせますし、輸送による環境負荷だって軽くすることができる。そういうメッセージになればという思いはありますね」

 実はこうした取り組みは、ガンディーが重視していた“近隣の原理”に通ずることのようで――。

 有料版の記事【理念の礎は「ガンディー」にあり? 経営からひもとく「鎌倉シャツ」 カリスマ創業者から引き継いだ「2代目社長」の狙いとは[貞末奈名子氏×森永康平氏]】では、経済アナリストの森永康平氏が社長に直撃し、カリスマ創業者から引き継いだ“2代目”としての経営哲学や組織作り、広告を打たない理由など、「経営」という視点から同社を解剖している。

デイリー新潮編集部

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