「山本由伸」味方打線の援護なしでも「5戦3勝」に“数字以上の衝撃”  急速な進化を証明する“3つのデータ”とは

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進化した低めへの投球が

 そんな山本が昨季から大きく進化させたものがある。それが、“低めへの投球”だ。

 今季の山本の球種別割合を見ると、根幹をなすフォーシームが昨季の40.5%から37.2%に微減しているのに対し、決め球のスプリットが24.2%から30.3%に上昇している。

 しかもそのスプリットが相手打者を39打数3安打(被打率.077)と翻弄しており、奪三振率の向上(10.5→11.8)にも一役買っている。伝家の宝刀を丁寧に低めに集めていることも高パフォーマンスの一因となっているのは間違いない。

 さらに、スプリット以外の球種も低めに集めていることが、GO/AOという指標からも見て取れる。

 GO/AOとは、ゴロアウトとフライアウトの比率を表しているが、昨季は1.35だったのが今季は2.75へ、2倍以上に増やしている。今季はフライアウト1つに対してほぼ3つのゴロアウトを稼いでいる計算だ。この2.75という数字は規定投球回数に達している両リーグ85投手の中で堂々の3位である(日本時間24日現在)。

 長打になる危険性が極めて低いゴロを量産していることも、好成績を残している秘訣と言えるだろう。奪三振率のさらなる向上に成功している山本にとって、ゴロの量産はまさに鬼に金棒状態ではないか。

次戦は怪物右腕との投げ合い

 そんな山本に新たな好敵手が立ちはだかる。それが次戦で投げ合いが予想されているパイレーツのポール・スキーンズだ。

 怪物とも称される右腕は、160キロ超えの剛速球を武器にルーキーイヤーの昨季にいきなり大活躍。オールスターで先発投手に指名され、ナ・リーグの新人王にも輝いた。今季は2勝2敗、防御率2.87と昨季ほどの勢いはないが、ドジャース打線には間違いなく脅威となるだろう。

 チームはカブスに手痛い2連敗を喫したばかり。絶対に落とせない一戦で、山本は再び我慢比べを強いられるのか、それともカブスとの2試合で合計16得点を挙げたドジャース打線が援護してくれるのか。いずれにしても山本の投球に大きな注目が集まる。

八木遊(やぎ・ゆう) スポーツライター
1976年生まれ。米国で大学院を修了後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLなどの業務に携わる。現在は、MLBを中心とした野球記事、および競馬記事を執筆中。

デイリー新潮編集部

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