「山本由伸」味方打線の援護なしでも「5戦3勝」に“数字以上の衝撃”  急速な進化を証明する“3つのデータ”とは

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 ドジャースの山本由伸が、日本時間26日(以下同)のパイレーツ戦で先発マウンドに上がる。今季ここまで5試合に登板し、防御率0.93のエース右腕は、昨季から何が変わったのか。データを交えながら徹底解剖していきたい。
【八木遊/スポーツライター】

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オリックス時代を彷彿とさせる今季の投球

 思い起こせば、昨季の山本は1回5失点の大炎上からメジャーでのキャリアをスタートさせた。その後もオリックス時代のような“無双”投球の連続とはいかず、6月に右肩を痛めて戦線を離脱。約3か月後に戦列復帰を果たすと、ポストシーズンでチームに貢献し、1年目にしてチャンピオンリングを手中に収めた。

 1年目を7勝2敗、防御率3.00とまずまずの成績で終えた山本は、さらなる飛躍を誓って2年目を迎えた。

 山本は東京ドームで開催されたカブス戦で開幕投手に指名されると、1年前の悪夢を払拭する好投で白星発進。その後もオリックス時代を彷彿とさせる安定した投球を続けている。

 防御率0.93、被打率.178、奪三振率11.8―――。軒並み昨季を大きく上回る数字を残している山本だが、3勝(1敗)している事実も見逃せない。

 防御率が0点台なら、本来は5勝0敗でもおかしくないところだが、今季の山本が登板した試合は息詰まる投手戦になることが多い。つまり、今季の山本は味方打線の援護に恵まれていないのである

 山本は5試合で29イニングを投げているが、登板している間に味方打線が挙げた得点、いわゆる“援護点”はわずか4点だけ。1試合(27アウト相当)の平均援護点は1.2で、これは今季3試合以上に先発した148投手の中で3番目に低い数字(日本時間24日現在)となっている。

山本登板時の無援護が目立つドジャース打線

 1試合平均援護点が1.5以下の投手は山本を含めて合計7人いるが、他の6人は1勝も挙げることができていない。それだけ打線の援護に恵まれない中での“5戦3勝”は相当価値が高いといえるだろう。

 ただ山本が降板した後のドジャース打線は一転して活発になり、17回1/3で16得点。1試合(27アウト相当)の平均援護点は8.3まで急上昇する。

 今季の山本のように投手がテンポ良く好投しているときほど、味方打線が呼応するように沈黙し、降板するやいなや、打撃戦の様相を呈するのは野球界でよくある現象の一つだろう。

 ただ、山本がこれだけ援護に恵まれないのは、好投手と対峙する試合が多かったのも理由の一つにある。

 今永昇太との日本人対決に始まり、昨季チームメートだったジャック・フラーティ(タイガース)、ブレイク中のヘスス・ルサルド(フィリーズ)、さらにサイ・ヤング賞を2度受賞しているジェーコブ・デグロム(メッツ)など、今季の山本は一線級との投げ合いがほとんどだ。

 考え方によっては、気の抜けない相手との対決が山本の高いパフォーマンスを引き出しているともいえるが、とにかく山本が投げている間は、ドジャース打線が沈黙していることだけは確かである。

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