素の存在感だけで駆け上がった「謎の怪芸人」 大河ドラマ「べらぼう」にも出演 「異物×無垢」の輝き

エンタメ 芸能

  • ブックマーク

「何者かになりたい」

 謎の怪芸人・ひょうろくが快進撃を続けている。2024年頃から「水曜日のダウンタウン」(TBS系)や各種CM出演で一躍話題となった彼は、ついにNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」への出演も決定。松前藩の江戸家老・松前廣年という実在の人物を演じることになった。

 ***

 芸人が売れっ子になるためのルートとしてよくあるのは、ネタやトークの面白さで評価されることだ。しかし、ひょうろくはネタでもトークでもなく、素の存在感だけでここまでたどり着いた。彼の人気の背景には、従来の芸人像を逸脱した「異物性」と「無垢性」の絶妙なバランスがある。

 ひょうろくは地元・鹿児島の高専を卒業した後、上京して千葉にある建設会社に勤めていた。その後、同級生の誘いでお笑いの道に進み、ジュウジマルというコンビを結成した。

 しかし、コンビとしては思うような結果を出すことができず、解散をすることになってしまった。ネタ作りも相方が担当していたため、1人になったひょうろくは窮地に追い込まれた。これといった芸も見つけられないまま、ただ「何者かになりたい」という思いだけが先行する日々だった。

 転機となったのは、お笑いコンビ・さらば青春の光のYouTube企画への出演である。ひょうろくは彼らが「30分以内に事務所に来た芸人に1万円をあげる」という企画を始めたのを知ると、すかさずバイトを早退してまで事務所に駆けつけた。その行動力が彼の運命を変えることになった。

 知名度ゼロで見た目のインパクトも抜群のひょうろくが突然現れて、さらばの2人は度肝を抜かれた。そして、その後も彼らのYouTubeにたびたび呼ばれるようになった。そこから「水曜日のダウンタウン」での起用をきっかけに、テレビ出演が急増。CM、ドラマ、旅番組と活躍の幅を広げていった。

 彼が芸人として特別なのは、素人性を手放さずに活躍している点である。「水曜日のダウンタウン」での臓器売買ドッキリや心霊スポット企画では、驚きや恐怖のリアクションがあまりにリアルで、多くの人を驚かせた。

次ページ:異様な緊張感と笑い

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。