江藤農水相は「コメ輸入拡大」に懸念を表明したが韓国米は軽視…高い関税を払って外国米を輸入しても「高騰のおかげで採算がとれる」皮肉な状況に

国内 政治

  • ブックマーク

「在日韓国人の方々が好んで召しあがっている」

 日本で食糧自給率が低い食品としては、小麦、大豆、牛肉、豚肉、砂糖などが代表例だろう。

 こうした食品を自国で生産できなくなったのは、私たちが「カネを払えば外国から買える」と考えた結果なのだろうか。

 しかも江藤農水相の発言は「国民のせいで、コメもそうなりつつある」とのニュアンスも感じ取れる。これに「違う」と異議を唱える国民は相当な数に達するはずだ。

「記者からは韓国米の質問も飛び出しました。35年ぶりに韓国のコメが日本に輸入され、販売されたためです。江藤農水相は『在日韓国人の方々が好んで召しあがっているというのは、報道でも触れました』と指摘しました。確かに日本農業新聞が『米の値上がりで困窮する在日韓国人からの要望で2万トンを輸入して完売した』と報じたのは事実です(註3)。ところが産経新聞は『2025年の輸入量は22万トンに達する見込み』と報じ、物珍しさとコメ不足から日本人の消費者も関心を示す可能性を指摘しました(註4)」(同・記者)

 ところが江藤農水相は会見で韓国米を「価格的にも、そんなに競争力のあるものでは、あまりないかなという感じがします」と一蹴してしまったのだ。

「輸入しても利益が出る」

「確かに4キロの値段は4104円なので割高感があるかもしれません。これだけなら江藤農水相の言う通り競争力は劣るでしょう。ところが10キロの販売価格は9000円ですから話は違ってきます。5キロ4500円ですので、高騰している日本米の値段と変わりません。しかも注目すべきはネット通販で、4キロも10キロも送料無料で自宅まで運んでくれます。スーパーから重いコメを持って帰るのは嫌だという消費者はいるでしょうし、コメの品種は日本と同じジャポニカ米です。むしろ韓国米も日本米の脅威と考えるべきだと思うのですが、江藤農水相は違うようなのです」(同・記者)

 これまではコメの高騰が続くと、消費者は割安なパンや麺類を代わりに食べることで「コメ離れ」が加速してしまうと不安視されていた。

 だが、コメ高騰が日本のコメ生産を脅かす可能性は、「コメ離れ」だけではないことが明らかになったと言える。

 日本米があまりに高すぎるため、代替品として輸入米の需要が増加する可能性──つまり「日本産のコメ離れ」だけが進み、「安くて美味しい世界のコメを喜んで食べる」風潮が広がる懸念が新たに浮上してきたのだ。

「現在、輸入米を巡る議論は2点に集約されます。1点目は関税ゼロのミニマムアクセス米をどう活用するかという問題。2点目はトランプ政権との交渉材料としてアメリカ米の受け入れを増やすかどうかという問題です。ところが個人輸入業者の間では『外国からコメを輸入して高い関税を払っても、日本のコメが高い今なら価格競争力がある。ネット通販を効果的に使えば利益も出る』と注目を集めているのです。つまり、日本人が輸入米に触れる機会がどんどん増えていると言えます」(同・記者)

次ページ:すでにスーパーでは輸入米が人気

前へ 1 2 3 次へ

[2/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。