江藤農水相は「コメ輸入拡大」に懸念を表明したが韓国米は軽視…高い関税を払って外国米を輸入しても「高騰のおかげで採算がとれる」皮肉な状況に
第1回【米棚が空っぽのスーパーも多いのに「3000円前半のコメが報道されるように…」 江藤農水相「謝罪」のウラでまたもや消費者感情“逆なで発言”】からの続き──。NHK NEWS WEBは4月21日、《全国のスーパーで今月13日までの1週間に販売されたコメの平均価格は、5キロあたりの税込みで4217円と前の週より3円値上がりしました。備蓄米が流通する中でも、15週連続の値上がりとなりました(註1)》と報じた。(全2回の第2回)
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翌22日の閣議後会見で、江藤拓・農林水産大臣は「備蓄米を出しても店頭価格が下がらないということについては、責任を重く感じておりますし、申し訳ないと思っております」と謝罪した。
その際、江藤農水相は「ようやく、テレビなどでも3000円前半とか、そういう米が報道されるようになってきました」と付け加えたのだが……。
全国でコメの価格は高騰している。沖縄では5キロ5000円台を超え、首都圏は5キロ4500円台が中心だ。とは言え、4500円に消費税が加わると限りなく5000円に近づく。大阪に至っては5キロ6000円のコメが話題を集めた。
少なくとも全国の都市圏では「江藤農水相の言う5キロ3000円前半のコメなんて見たことも聞いたこともない」という人が大半だろう。
一体、江藤農水相はどこの販売状況をテレビで見たのだろうか。調べてみると複数の県が候補として浮上した。
その一つが福井県だ。JA福井は備蓄米を落札したこともあり、4月10日に5キロ3180円で販売した。その様子を地元メディアが大きく報じている(註2)。
だが、福井県内だけで起きている動きを「備蓄米の効果が出た」と誇らしげに言われても、首都圏や関西圏など都市部の消費者は怒りしか感じないのではないだろうか。
自給率が低いのは消費者の責任!?
さらに4月22日の会見では、記者からアメリカ米に関しても質問が出た。いわゆるトランプ関税が世界の大ニュースになっているのはご存知の通りだ。
ホワイトハウスのレビット報道官も「日本はアメリカから輸入するコメに700%の関税を課している」と批判したことは日本でも大きな注目を集めた。
700%という税率は全く正確さを欠くと指摘されているとはいえ、アメリカがコメの輸入拡大を求めており、日本にとって喫緊の課題となっているのは事実だ。
質問に江藤農水相はアメリカ米の受け入れを拡大するつもりはないと言下に否定したが、その一方で何と「安いコメを求める消費者」にも責任があるとも指摘した。
「江藤農水相は『カルフォルニア米は安くて美味しい。だから輸入してほしい』という声があることを『気持ちはよく分かります』と理解を示しました。しかし食料安全保障の確保が必要だと指摘し、日本で作れるものは日本で作ることで食料自給率を上げるべきだと訴えました。これだけなら立派な正論でしょう。ところが江藤農水相は続けて『お金を出しさえすれば手に入るということを、日本人が信じすぎたゆえに、食料自給率が低過ぎたという側面があると思っています』と自説を披露したのです。まるで日本の食糧自給率が低いのは、消費者に責任があるかのような印象を受ける発言です」(同・記者)
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