145%「トランプ関税」で米国の花嫁に悲劇 ウェディングドレスの価格が2倍で結婚式縮小も

国際

  • ブックマーク

幸福度にまで影響

 世界を驚嘆させているトランプ関税は、米国の結婚式にまで悪影響を及ぼし始めた。というのも、米国のウェディングドレスのほとんどが中国製のため、145%の関税が課されるとウェディングドレスの価格が2倍に跳ね上がるというのだ。6月のジューンブライドシーズンを控え、幸せを夢見るカップルたちに冷や水を浴びせている。

 ***

 トランプ関税による“副作用”を報じたのは、中国の国営テレビ局である中国中央電視台(CCTV)。最近放送された同局の「財経ニュース」によると、米国のウェディングドレス市場の90%が中国製。手作業でビーズ刺繍を入れたり、複雑な工程が必要なシルクを縫うことができたりする縫製オペレーターが、米国内には極めて少ないという。

 その上、ウェディングドレスの縫製技術者を米国内で養成するためには、何年もかかり当面の需要をカバーすることができない。結果、中国からのウェディングドレスの輸入を今後も続けざるを得ないというのだ。ニュース内にはウェディングドレス店の女性店主が何人も登場し、値上げ圧力による窮状を訴えた。

 米国の結婚事情に詳しいウェディングプランナーがこう明かす。

「アメリカ人の婚礼予算は招待客数を約100人に設定した場合、平均で500万円ほどです。内訳は会場費、料理、ケーキ、写真撮影のカメラマン手配、衣装代、花代など。衣装代は新郎新婦合わせて約2000ドル(約28万円)が相場なので、花嫁衣裳代が2倍になればざっと42万円に跳ね上がってしまいます。アメリカ人にとって、ウェディングドレスは一生の思い出の品なので、購入するケースがほとんど。日本と違いレンタルはそれほど多くはありません」

 米国のカップルにとってウェディングドレスは幸せを感じる象徴的存在だ。ウェディングドレスの価格が突然2倍になったとしたら、それは夢やロマンの問題だけではなく、社会全体にじわじわと影響を与える現実的な問題となり得る。

「ウェディングドレスの費用負担が膨らむことで、他の婚礼予算を削らざるを得なくなります。その結果、招待客の削減や結婚式自体の縮小と延期、さらには式を挙げずに籍だけ入れるという選択肢を取るカップルが増えることも予想されます。中古ドレスやレンタルドレスの市場が広がるかもしれません。しかし、“一生に一度の夢”を低予算化することで感情的な失望を呼び、ひいては米国の婚姻率低下や離婚率の上昇にもつながりかねません」(前出のプランナー)

次ページ:SNS上とのギャップ

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

  • ブックマーク

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。