なぜ格ゲーに…「餓狼伝説」にクリスティアーノ・ロナウド参戦 異例コラボの背景に“壮大な国家戦略”

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 1990年代に「ストリートファイター」と並び格闘ゲームブームを牽引したSNKの「餓狼伝説」。その26年ぶりの新作「City of the Wolves」が4月24日に発売されるが、登場キャラに世界的なサッカー選手であるクリスティアーノ・ロナウドが起用され、ゲームファンを困惑させている。いったいなぜ奇妙な“コラボ”は起きたのか。

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 ロナウドは今回「餓狼伝説」にただ登場するわけではない。プレイヤーが操るキャラ(プレイアブルキャラ)としてテリー・ボガードや不知火舞などの人気キャラと激闘を繰り広げるのだ。ゲーム映像を見るとシュートやドリブルといったサッカーの技術を活かした独自の必殺技を繰り出し、相手を攻撃している。キャラの説明には「フットボールで培った様々なテクニックはたとえ格闘家でも止められはしない」とあるが、現役サッカー選手が分野違いの格闘技を行うというのは違和感がある。

 実際、このロナウドの“参戦”を面白がる人々もいる一方で、「ゲームの世界観が壊れる」「だったら過去の餓狼のキャラを出して」など疑問の声がゲームファンから上がっている。

背景に国家プロジェクト

「餓狼伝説」とロナウド。この奇妙な組み合わせのカギを握るのがサウジアラビアだ。

「餓狼伝説」を開発するSNKは2001年に破産。その後、中国企業への買収などを経て、現在はサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子によって設立された「ミスク財団」所有の企業に買収されている。

 SNKの実質的なオーナーといえるムハンマド皇太子は親日家で、日本のアニメやマンガ文化への造詣も深い人物として知られる。SNKの格闘ゲームも10代の頃に遊び、大ファンだったという。ただSNK買収は、ムハンマド皇太子のただの道楽というわけではない。彼が進めるサウジの国家改革プロジェクト「ビジョン2030」に絡んでいる。

「ビジョン2030」は2016年に発表された数十億ドル規模の投資を行う一大プロジェクトで、サウジアラビアを石油依存から脱却させ、経済活動の多様化を目指すというものだ。その柱の一つとしてムハンマド皇太子が目をつけたのがアニメ、ゲームといったコンテンツだった。

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