今年もさっそく起きたプロ野球“不可解判定” 過去には致命的な誤審で審判が“二軍降格”になったケースもあった

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「危険球とするかは難しい判断でしたが…」

 頭に当たったかどうか微妙な危険球判定が勝敗を分ける結果を招いたのが、2018年7月18日のロッテ対楽天である。

 2対2の8回1死一塁、楽天の打者・今江年晶(当時の登録名、今江敏晃)に対し、ロッテ・益田直也の投球が肩付近を通過した際にヘルメットをかすめたように見えた。

 スローVTRでは体に当たっていないようにも見える微妙なコースだったが、柳田昌夫球審は危険球を宣告した。スタンドのロッテファンからブーイングが起き、今江に対して「演技うまいな」のヤジも飛んだ。

 益田は退場となり、急きょチェンがマウンドに上がったが、まだ十分に肩ができていなかったことから、制球が定まらない。2死から連続四球で押し出しによる決勝点を許すと、ペゲーロにも2点タイムリーを浴びて2対5。さらに代わった田中靖洋も嶋基宏に右前タイムリーを浴び、そのまま2対6で敗れた。

 試合後、勝敗を分けた危険球判定について、柳田球審は「アグリーメントでは、頭部付近に当たれば退場となっている。難しい判断でしたけど、今江選手も頭がしびれているということを言っていましたし、場所が頭部付近かどうかを審判4人で協議した結果、そういう判断になった」と説明した。

 今江も「僕は必死で避けているから、わからないんですよ」としながらも、「当たったように感じて。捕手(田村龍弘)に聞いたら『当たってます』って言うから。このへん(左頭部)も熱っぽかったんで」と証言した。自軍の捕手が「当たった」と認めたことから、ロッテ・井口資仁監督はリクエストを行使しなかったが、ネット上では「頭なんて一ミリも当たってなくて草」「肩やんけ!」などの声が相次いだ。

 その後、VTRを見た落合博満氏も「当たっていたとしても肩でしょ。実際当たっていないんだけども」とコメントするなど、グラウンド外でも論争が続いた。

 2010年からビデオ判定、18年からリクエスト制が導入されたが、映像も状況によっては万全とは言えず、不可解判定がなくなることはない。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新著作は『死闘!激突!東都大学野球』(ビジネス社)。

デイリー新潮編集部

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