2回KO→2軍調整でも「田中将大」は巨人で“VIP待遇” 「中日以外には通用しない」投球だが、全選手で断トツの数字とは

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投手陣の相談役

 久保コーチの魔改造で復活した菅野だが、実はそれも指導を受けてから2年目のこと。1年目は4勝8敗に終わっている。それより年長の田中が、わずか数カ月で結果を出そうというのは土台難しい話。二軍でゆっくりフォーム改造に取り組むのもひとつの選択肢だが、杉内コーチは一軍に拘り、次々週木曜日の広島戦登板を明言している。なぜかように「VIP待遇」なのだろうか。

「入団して間もないですが、戸郷や山崎伊織といった若手投手たちが、田中に心酔。こぞってアドバイスを求めているのです。楽天やヤンキースで実績を上げた田中にはやはりオーラがある。キャンプでも田中が投げ始めると、若手投手が周りに集結。“オーッ”と歓声を上げていたとか。開幕後も、やはり不調スタートの戸郷に、早速アドバイスを送っていました。経験値が圧倒的に豊富ですから、投手陣の中で相談役として存在感を増しているのです」(同)

 また、

「入団してからというものの、田中のグッズがバカ売れ。ドームでのグッズ売り上げは全選手で断トツだったとか。キャンプでは、田中の“魔改造”ネタで、連日多くの報道陣が取材に訪れ、毎日のようにその様子がニュースで報じられていました。久保コーチも取材に積極的に答え、盛り上げに一役買った。その結果、観客もたくさん訪れました。それに味をしめ、球団はシーズン前の段階で残り3勝となっていた『200勝達成』をカウントダウンで盛り上げようと必死。田中のグラブに刺繍されている『氣』という文字を200個のボールで形作り、ドームにモニュメントとして飾る。そんなプロジェクトを進めています」(同)

矛先が向かってくる

 さらに、だ。

「このまま一年間田中が不調に沈めば、獲得を主導した阿部監督にその矛先が向かい、責任論も出てくる。だから、阿部監督は何としてでも今季中に田中に200勝を達成させ、さらに勝ち星を上積みしてほしいのです。幸い、今年の巨人は大勢、ライデル・マルティネスと中継ぎ、抑えは最強。せめて5回までリードを保ってくれれば勝利が付く可能性は高いのですが、現状はそれにも疑問符が付いています」(同)

 一方の田中にとっても、200勝を達成し、巨人に貢献できれば“その先”も見えてくる。

「田中は楽天の大功労者なのに、球団から袖にされる形でチームを離れざるをえなくなった。プライドもありますから、引退後、指導者になるにしても、楽天には戻りたくないという思いもあるかもしれません。200勝を達成、ジャイアンツのユニフォームで引退し、『巨人の田中』というイメージをまとえば、セカンドキャリアには読売というバックが付くことになり、圧倒的に安心ですよね」(同)

 次回登板は5月1日。果たして199勝目の達成なるか、それとも――。

小田義天(おだ・ぎてん) スポーツライター

デイリー新潮編集部

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