【プロ野球1週間を振り返り】田中将大「大炎上」、村上宗隆「復帰即故障」の悪夢…西武は“ノーヒット・ワンラン” ロッテの新星の好投が光った!

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順調にいけば、初のホームラン王、打点王も?

 一方、野手では、佐藤輝明(阪神)の活躍が目立った。17日のヤクルト戦では8回に逆転のツーランを放ってチームの勝利に貢献したほか、20日の広島戦では4打数4安打2本塁打6打点の固め打ちで、チームの連敗を止めた。7本塁打、17打点はいずれもセ・リーグトップであり、打率も一気に.273までに上昇している。

 20日の広島戦はルーキーの伊原陵人が、プロ初先発で初勝利をマークしており、そういう意味でも、佐藤の活躍がチームにもたらしたプラスは大きかったと言えるだろう。

 昨年は開幕から不振に苦しみ、5月には登録抹消された影響もあって、プロ入り以来最低の16本塁打に終わった。今年は順調にホームラン、長打を積み重ねている。引っ張るだけでなく、センター方向に大きい当たりが出ている点も状態の良さを表していると言えるだろう。このまま順調にいけば、初のホームラン王、打点王のタイトル獲得も十分に視野に入ってくる。

メジャー挑戦にも暗雲が?

 ここまでは好調な選手を取り上げたが、一方で苦しんでいる選手も……。中でも最も想定外の事態となったのが、村上宗隆(ヤクルト)だ。開幕から上半身のコンディション不良で出遅れており、17日の阪神戦でようやく一軍に復帰し、プロ入り初となるライトでスタメン出場。第4打席にはレフト前ヒットを放ったが、続く第5打席で空振りした際に再び上半身を痛めて途中交代となった。翌日には即登録抹消となり、再びリハビリ生活を余儀なくされた。

 故障の詳細について正式な発表はないものの、これまで痛めていた箇所を再び痛めたと見られており、自らベンチへ退いた様子を見てもかなりの重傷である可能性は高い。

 低迷するヤクルトにも、もちろん痛手だが、今年が3年契約の最終年でオフにはメジャー移籍を目指すことが既定路線と見られていた村上自身にとっても、故障の再発は大きな誤算だ。シーズン中に満足な打撃を見せることができなければ、オフのメジャー移籍も暗礁に乗り上げる可能性もあるだろう。

スピリットとストレートはもう厳しいか

 そしてもう1人苦しい立場となったのが、田中将大(巨人)だ。3日の中日戦では5回1失点の好投で移籍後初勝利をマークしたが、17日のDeNA戦では2回を被安打7、6失点で降板と全く試合を作ることができなかった。

 ストレートの最速は149キロをマークしていたが、そこまでの威力が感じられず、スプリット頼みになったところを痛打されている。相手打線も田中のストレートに勢いがないことを完全に見抜いていた。田中は、悪いなりの投球をすることもできなかった。

 試合の翌日に登録を抹消され、二軍での調整も決まった。キャンプからフォームの改造には着手しているものの、年齢的な問題やこれまでの勤続疲労もあってか、ボールの勢いを完全に取り戻すのは難しいだろう。

 そうなると、やはり考えたいのが、投球スタイルの見直しだ。代名詞とも言えるスプリットはストレートが走らなければ威力は半減する。それだけに、もっと他の球種の割合を増やすなどの工夫は必要である。シーズン中に大きくスタイルを変えるのは簡単なことではないが、これまで培ってきた経験を生かして、何とか二軍で復活の兆しを見せてもらいたい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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