まさか、フジ取締役に「旧ジャニ社長」の名前 「ギャラの折り合いをどう付けるのか」

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総力戦になるか

 12人の中には大手総合金融グループ「SBIホールディングス(HD)」の北尾吉孝社長(74)もいる。超が付くほど大物金融人である。

 北尾氏は2005年、ホリエモンこと堀江貴文氏(52)が率いる「ライブドア」が、当時のフジの大株主・ニッポン放送を買収しようとした際、ホワイトナイト(買収防衛役)としてフジ側を守った。

 北尾氏は7日に自身のフェイスブックで、FMHとフジの問題に触れ、「ホワイトナイトをやるべきではなかった。(FMHとフジを)堀江さんが経営していたら、進化した会社になっていた」と書き込んだ。北尾氏と堀江氏は既に和解している。

 北尾氏は17日に会見を開き、旧態依然としたFMHとフジの経営を批判。そのうえで「反省の念がなく敵対してくるのなら、徹底的に勝負する」と宣言した。ちなみにFMHの資本金は1462億円、SBIHDは同1804億円である。

「日枝氏の失敗の1つは恩人の北尾氏に礼を尽くさなかったこと。日枝氏は世話になった先輩や自分に尽くした部下も平気で切れる人だから」(フジ関係者B)

 北尾氏と日枝氏の戦いは2月上旬には始まっていた。日枝氏側はFMH株を大量に買っているのは北尾氏サイドだと確信し、その狙いを懸命に探っていた。

 一方、12人の新役員人事案を出したダルトンは「日枝体制の 残滓を一掃し、大変革を」と声明した。こちらも日枝氏に悪感情があるようだ。

 フジの低視聴率が長く続き、FMHの配当が低かったことなどが理由と見られる。同社はFMHの株式のうち約7%を保有している。

 北尾氏が総帥であるSBIHDの傘下で資産運用会社の「レオス・キャピタルワークス」は同5%強を保有する。同社がダルトンと連携するのは間違いない。

 ほかに、旧村上ファンドの代表だった村上世彰氏(65)の長女・野村絢氏と、投資会社「レノ」がFMH株の11%強を持つ。筆頭株主である。

 村上氏は沈黙を守っている。だが、村上氏は堀江氏のニッポン放送株買収の際、自らもインサイダー取引に問われ、証券取引法違反で有罪判決を受けた。これが不満だったとされている。村上氏もフジには好感情を抱いていないと見られている。

「村上氏は堀江氏とも親交があるから、ダルトン、レオスと行動を共にするだろう」(同フジ関係者B)

 金光修社長らFMH側が3月27日に発表した新役員候補をダルトンは白紙に戻す意向だ。しかし北尾氏は17日の会見で、清水氏については「残しておいたほうがいい」と語った。

「僕は一度お会いしただけですが、いろいろな方からの清水評を聞きました。誰かは残すべきと最初から思ってきたこと。アニメを(中心に)やっていたこともあって昔のカラーの薄い方」(北尾氏)

 もっとも、フジ関係者Bの見方はやや異なる。

「誰か残さなくてはならないのは本音だろうが、結び付きが強い金光氏の分断も大きな狙いだろう。日枝氏との関係も金光氏と違って薄い」(フジ関係者B)

 FMHとダルトンの新役員候補案。どちらが承認されるかは6月の株主総会で決まる。一辺に決まるのではなく、1人ひとりが株主から承認を受ける。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社し、放送担当記者、専門委員。2015年に毎日新聞出版社に入社し、サンデー毎日編集次長。2019年に独立。前放送批評懇談会出版編集委員。

デイリー新潮編集部

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