「為書きの入ったサイン色紙は売れない」はカン違い…プレミアがつくサイン色紙の知られざる「3条件」とは

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サイン色紙が高くなる条件とは

 ――逆に価値が高くなるサインは?

 これははっきりしています。(1)女性キャラクターを描いた絵であること。(2)色付きであること。(3)めったにサインをしない人であること。この3つがプレミアの条件と言われています。これは、1995年に出版された「開運!なんでも鑑定団」の公式本でも紹介されている原則で、現在でもほとんどこれに当てはまっています。

 なぜ女性キャラクターなのかと言うと、コレクターが男性ばかりだからです。これは、日本画や洋画でも美人画の人気が高い理由と同じですね。かわいくて、美しい女性の絵であれば、それほど知名度がない作家の絵でも高く売れることがあります。反面、まったくと言っていいほど女性のコレクターはいないため、BL系の漫画家の色紙はどんなに緻密で手が込んでいても高額になりにくい傾向があります。

 カラーが高くなるのは当たり前ですね。手が込んだ色紙の方が嬉しいですし、カラーなら飾り映えがします。滅多にサインを描かない人のサインに希少価値があるのは当然ですが、これには若干異論があります。作家に人気があれば、数があっても高騰します。現代アートで言えば、草間彌生や奈良美智の作品も数が少ないわけではないし、ピカソは世界トップクラスの多作な画家ですが、価格は高いですよね。要は需要と供給のバランスで変わるのです。

岸田氏のサインが高くなるのは「当たり前」

 ――岸田メルさんのサイン色紙についてはいかがでしょうか。

 今回、問題になっている色紙について言えば、(1)と(2)に完全に当てはまっています。岸田さんは“日本一サイン色紙をもらいやすいイラストレーター”を自称していて、サインを量産しておられるようなので、(3)には当てはまっていないのかもしれません。しかし、海外でも人気の高いアニメやゲームに関わっていらっしゃり、供給量を上回る需要があるので高くなるのです。外国人のファンもたくさんいる岸田さんの人気から考えたら、当たり前だと思います。

 また、岸田さんはコンカフェをプロデュースしているようです。私は岸田さんの熱狂的なファンではありませんが、コンカフェ嬢よりも岸田さんが描く女の子の方が魅力的に映りますし、その絵に20万円以上出す人の気持ちがよくわかります。コンカフェ嬢にシャンパンなら開けてしまえば一瞬で終わりですが、絵はずっと所有できるからです。ちなみに私は二次元にしか興味がなく、三次元には惹かれないので、コンカフェには行きません。

 個人的には、転売をする人は本当にごくごくわずかだと思いますし、あくまでも私の価値観では、20万円以上出して転売された商品を買った人は“本当のファン”だと思っています。実際、外国人のコレクターは「なんで日本人は転売でそこまで怒るのか」「高額で売れるのは評価が高いからこそじゃないか!」と言っていました。

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