ブリに日本酒… アメリカで大人気の日本食材、生産者から悲鳴 「恩義があるので、値下げを飲まざるを得ない」

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米国で高まるメイドイン・ジャパンの食材への認知度

【前後編の後編/前編からの続き】

 永田町が“国難”に右往左往する間にも、「関税ショック」に日本経済はむしばまれ始めている。その影響は乱気流のごとく変動する株価に象徴されるが、実態はといえば少々見えづらい。果たして本当に被害を受ける企業名と品名とは――。

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 前編【トランプ関税でも「無印良品はほぼノーダメージ」の理由とは 一方ユニクロは「踏んだり蹴ったり」】では、日本を代表するグローバル企業が被るダメージについて報じた。

 そもそもアパレル業界のみならず、日本企業にとっての輸出先の“上得意”は「中国」と「米国」だった。

 それが近年、習近平政権下での経済失速や、福島原発の処理水を巡る輸入規制が日本企業を直撃。不確定要素が増えたことで、米国シフトが鮮明となっている。

 特に顕著だったのは農水産品や食品で、和食の世界遺産登録などの後押しもあり、米国ではメイドイン・ジャパンの食材への認知度が高まっているのだ。

「アメリカには恩義があるので……」

 農水省の最新統計によれば、昨年の「農水産品・食品」における輸出先1位は米国で、その総額は約2500億円にも及ぶ。前年比で367億円も増加しており、ホタテ貝や牛肉などの生鮮食品、日本酒などが好調だという。

「去年はホタテの売り上げのうち8億円くらいがアメリカへの輸出でした」

 と明かすのは、ホタテ貝の一大産地・北海道紋別市で水産加工業を営む「丸ウロコ三和水産」だ。

「当社では、ホタテの貝柱だけを冷凍した『玉冷』という状態にして、商社を通じてアメリカのレストランやスーパーに卸しています。今後は、関税が価格に上乗せされるので、昨年ほどは売れなくなってしまうと思います。こちらとしても、アメリカには、中国が輸入禁止の措置を決めた時に買っていただいた恩義がある。多少安くしてくれと言われてものみますよ」

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