「俺が夜毎呪ってやるからな!」 芸能人にも人気の京都「車折神社」でSNSが大炎上…“生成AIイラスト”はなぜここまで荒れるのか

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生成AIを使った神社のXが大炎上

 京都の嵯峨野に鎮座する車折神社は、1189(文治5)年に創建された歴史をもち、芸能人からも信仰を集める神社である。この神社のXが、静かな環境にある神社とは似つかわしくないほど、未曽有の大炎上に見舞われた。その要因は、2025年3月18日、神社側がSNSのアイコン用として“生成AI”を使ったイラストをUPしたことだった。

 アイコンの巫女の絵は、“生成AI絵師”のグラハム氏によって生成されたものだ。生成AIは人が描いた絵を“無断学習”しているとされ、著作権や著作者人格権の問題から問題視する意見もある。そのため、漫画家やイラストレーターの間では批判的な声や、政府に対し規制を求める意見が出ている。その一方で、生成AIの活用を検討したり、進化を歓迎する漫画家やイラストレーターも少なくないため、業界関係者の意見は統一されていない。

 筆者が取材したあるイラストレーターは「生成AIには関心がない」と述べつつ、「生成AIの普及は、僕にとって大きなチャンス」と述べている。「僕は手描きのイラストを販売しているけれど、生成AIが普及してから格段にアナログ技術の注目度が上がった。生成AIは確かに気持ち悪いとは思うけれど、止めるのは無理だろう。反対するくらいなら、一枚でも多くの絵を描きたい」と話す。クリエイターの間でも向き合い方は様々なのだ。

 さて、車折神社がイラストをUPすると、生成AIに批判的な人たちが殺到して大騒動となった。車折神社が芸能の神様としても知られることから、「芸術を冒涜している」などという声も上がった。想像以上の批判を受け、神社側はSNSの運用の停止を決めた。また、芸能人の中には奉納した玉垣の取り下げを宣言する人物が現れるなどの波紋が広がった。グラハム氏も騒動を受け、神社への誹謗中傷を止めるように呼びかけている。

神社に放火予告や殺害予告が届いている

 生成AIは過渡期の技術であるが、今後の社会のあり様を一変させる可能性も指摘されているため、注目度が高い。したがって、本来であれば世論を巻き込んだ幅広い議論が必要だが、SNS上では一部の人の言動が過激化しているのが大きな問題である。肯定的な人、否定的な人の双方に過激な行動を起こす人が少なからずいるため、クリエイターの間では生成AIに言いたいことがあっても触れたくないという人も少なくない。

 これまでに、肯定的な人が生成AIに批判的なイラストレーターに誹謗中傷を行ったり、無断で画像データを作成するなどの嫌がらせを行った例もある。精神的に追い込むような暴言を吐く例も目立つ。その一方で、否定的な人も生成AIを使用した企業に攻撃的なメールを送ったり、自作の絵をUPしたイラストレーターに対して「それは生成AIを使っていますよね?」などと中傷したことがあった。これに対し、イラストレーターは釈明を行っている。

 デイリー新潮では、このたび車折神社関係者に取材を申し込んだところ、匿名を条件に取材に応じ、「とにかく連日のように凄まじい攻撃的なメールが相次ぎ、神社の職員は本当に追い込まれている」と苦しい胸中を語ってくれた。さらに、「死ね」「殺す」などの殺害予告や、放火を予告する膨大な量のメールが届いていることも明らかにした。

 そのメールを実際に見せてもらった。「AIが大好きなよい子(笑)にプレゼントだ」という文言とともに炎の写真を送って来たり、火炎放射器や火炎瓶の写真を何通も送りつけてきた人がいた。「いつかこれ持って参拝に参ります」と書かれたメールには、チェーンソーや斧、包丁などの写真が添付されている。

 さらには、「俺が夜毎呪ってやるからな毎晩毎晩呪詛を掛けてやる災いあれ!!!!」「呪い殺す呪い殺す呪い殺す呪い殺す呪い殺す呪い殺す呪い殺す呪い殺す呪い殺す呪い殺す呪い殺す呪い殺す呪い殺す呪い殺す呪い殺す呪い殺す呪い殺す呪い殺す呪い殺す呪い殺す呪い殺す呪い殺す呪い殺す呪い殺す呪い殺す呪い殺す呪い殺す」など、見るだけでもおぞましいメールも届いている。

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