「俺が夜毎呪ってやるからな!」 芸能人にも人気の京都「車折神社」でSNSが大炎上…“生成AIイラスト”はなぜここまで荒れるのか

国内 社会

  • ブックマーク

実際に神社を訪れ、抗議した人も

 車折神社に届いているメールは極めて悪質であり、ここで紹介することもためらってしまうほど、過激な文言が並んでいる。ほかにも、このようなメールもある。

「お前らやお前らと傷の舐め合いしていたAI絵師なんて言って、作家さんや絵を描きたいと望んでる人達を侮辱して足蹴にした奴らの事だよ!他人様への悪口を好意的な解釈だとかほざいてるなんてどんだけ民度の低い神社なんだ!そっちにいってガソリン撒いて燃やしたろか?その薄汚い社も境内もな!」

 感情的になっているのか、文章が支離滅裂になっているのがよくわかる。こうした攻撃的なメールが相次いで届く事態に対し、神社関係者はこう話す。

「実際に神社を訪れて、抗議をしてきた人もいます。その方とは話し合いを行い、しっかりこちらの立場や考えを説明し、納得していただきました。ただ、殺害予告や放火予告などは警察に相談をしています。ガソリンを撒くというメールに対しては、警察の方が“京都アニメーションの放火事件を彷彿とさせる”と話していました。私どもも憔悴しきっている状態です」

 生成AIについて批判を行ったり、意見を述べることは自由である。だからと言って、生成AIの使用者に放火予告や殺害予告を行ったり、精神的に追い込むのは、正しい行動といえるだろうか。これは生成AIに肯定的な人にも言えることだが、攻撃的な行動が続くようでは、健全な議論の機会が奪われかねないだろう。

本当に生成AIに悩まされている人が困る

 なお、筆者はこれまでに生成AIについて、肯定的な人にも、否定的な人にも取材を行い、現状を淡々と伝える記事を書いてきた。特に、双方の立場の漫画家を取材して記事化したところ、多くの反響を呼んだ。基本的にどんな記事であっても発表すれば何かしらの批判的な意見が来るのだが、生成AIに関しては、特に生成AIに批判的な人から「死ね」「三流記者」「殺す」などの感情的なメールが何件も届いたのが印象的であった。

 生成AIに関しては、今後、何らかの形で法整備が進むものと考えられるし、様々な議論が行われるべきである。ただ、繰り返すようだが、そういった議論の障壁になるのが、感情的かつ攻撃的な言動だろう。特に、車折神社に対して行われたような、放火を仄めかしたり、暴言を吐く行為はさすがにいただけない。

 ほとんどの人は冷静だと思うが、一部の人が放火予告や殺害予告などを行うせいで、生成AIについて意見を述べるだけで世間から「危険な集団だ」と思われてしまう可能性がある。実際、筆者の周りではそれを苦々しく感じている漫画家もいる。これでは議論が後退しかねず、本当に生成AIに悩まされているイラストレーターや漫画家が一番困ってしまうのではないか。

 繰り返すようだが、生成AIに対して意見があるのであれば、肯定する側も、否定する側も、感情的な行動は慎むべきであるし、反社会的な行動を行うべきではない。冷静かつ建設的な議論がなされるべきである。

取材・文=山内貴範

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

  • ブックマーク

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。