「反省せずに解散命令を逃れようとしている」 旧統一教会内部で何が起きているのか 「信者の引き抜きも」
分派による“引き抜き”
その上で彼らが懸念しているのが、「信者の引き抜き」だ。事実、旧統一教会の教義を否定した、教祖・文鮮明氏の七男・文亨進氏が設立した「世界平和統一聖殿」の日本本部「日本サンクチュアリ協会」(本部・群馬県)の信者たちから勧誘の動きがあるという。
「“分派”からすれば今回の解散命令は天罰が下ったという認識のようで、若い信者たちに“教団がなくなったらうちに入りませんか”と声をかけています」(同)
とはいえ、いくら旧統一教会が組織を死守しようとしたところで、彼らが牙をむいている相手は「国家」だ。「信教の自由を守れ」と喉をからしても無駄である。そこで教団側が反撃の材料としているのが「国の不正」だ。
解散命令を請求した文部科学省が地裁に提出した陳述書などの中には、「元信者」の証言が294人分収められているが、教団が調べたところそのうち33人分が「信者の親族」や「文科省職員」、さらに教団に批判的な弁護士だったという。この「文書捏造疑惑」について、阿部俊子文科相は「適正に行った」と釈明しているが、その上で、3月10日に教団の信者の男性が私文書偽造と偽造私文書行使容疑で、文科省職員3名に対する告発状を東京地検に提出した。
「トランプ神風」
加えて、「切り札」として信者たちが期待を寄せているものがある。それは「トランプ神風」だ。
安倍元首相がビデオメッセージを送った旧統一教会の関係団体「UPF」(天宙平和連合)主催イベントに仲良くビデオ出演を果たしていることからも、ドナルド・トランプ米大統領が教団と関係があることは公然の事実だが、実は最近それがさらに「強化」されている。
今年1月、ワシントンでUPFも「パートナー団体」として名を連ねる「国際宗教自由サミット」(IRFサミット)なるイベントが開催された。そこに登壇して「信教の自由」について演説をしたのはJ・D・バンス副大統領。先日のウクライナ・ゼレンスキー大統領とトランプ大統領の会談にも割って入って口論のきっかけをつくった「トランプの懐刀」だ。
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