こんなはずでは…節税狙いの「都内1K・3300万円」マンション投資で年48万円の赤字 35歳「サラリーマン大家」の末路

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「所得税還付で実質賃金アップ!サラリーマンが絶対にやるべき資産運用テクニックを伝授します!!」……YouTubeでこのような動画広告を目にしたことはないだろうか。先行きの見えない日本社会、将来の暮らしへ漠然とした不安…。給与明細を開いてみれば、税金や保険料、年金でガッツリ削られた支給額。以前から節税に関心を持っていた都内在住の30代会社員・Aさんは、広告で目にした「マンション投資」に挑戦するが――。実際の事例をもとに、住宅コンサルタントの寺岡孝氏が個人向け不動産投資の“リアル”をお届けする。

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安定、堅実な新築ワンルームマンション投資?

 インターネットで新築ワンルームマンション投資を誘う広告を見かけたことはありませんか。謳い文句はこんな感じです。

“人生の折り返しを迎える40代、中には年収1000万円を超えるサラリーマンもいますが、所得税の税率が上がり始めるのもちょうどこの層です。年収が上がっても税率が上がれば手取りの伸びはわずかのみ。副業が一般的になった昨今ですが、本業が忙しい人はそんな時間的余裕もありません。そんな年収500万円以上のサラリーマンにおすすめなのが、新築ワンルームマンション投資です。将来に向けた資産形成をする上で、安定、堅実な新築ワンルームマンション投資は、サラリーマンや公務員にこそ向いています“

 ――ワンルームマンション投資で資産形成?

 はたして、「新築ワンルームマンション投資」で本当に資産を形成することはできるのでしょうか。実際にあった事例から考えてみましょう。

Aさん、35歳、独身男性、年収700万円で上場企業に勤務

 YouTube広告から資料請求すると、さっそく営業マンから連絡があり、新築ワンルームマンション投資を勧められたAさん。

「低リスクな資産運用です」という説明に魅力を感じ、都内某所に建つ新築ワンルームマンションを購入することに。売買金額は3300万円、30平方メートル程度のいわゆる1Kのマンションです。

 不動産投資会社からは、簡単な収支計算のシミュレーションのもと、

「家賃からローン返済、管理費等を差し引いて、月あたりの負担は約2万円。それで将来の年金代わりや生命保険の代わりになります」

 という説明がありました。「まあ、2万円ぐらいならいいか」と考えたAさん。

「家賃はサブリース契約で家賃保証をするので、空室になったとしても安心です」

 という営業担当者の後押しもあり、購入を決意しました。

 不動産投資会社から「自己資金は10万円だけで、その他はすべてローンで賄うことができる」と聞いていたことも、決め手になったようです。

 通常、不動産を購入する際には登記費用やローンの諸費用がかかるものですが、そうした費用は不動産投資会社がサービスしてくれたとのこと。

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