「上った階段をわざわざ下りてまで戦いたい相手」 井上尚弥が階級を戻してでも中谷潤人と拳を交えたい理由
いくつもの“異例”
ボクシング世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(32)が3月31日、2024年度の年間表彰式で7年連続8度目の最優秀選手賞を受賞した。
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壇上で井上は、
「1年後の東京ドームで、日本ボクシングを盛り上げよう」
とWBC世界バンタム級王者の中谷潤人(27)に呼びかけ、場内をどよめかせた。
「スピーチで本人に直接対戦を求めるのも異例ですが、実現するまでにも、いくつもの“異例”があるんです」
と語るスポーツライターによると、井上はまず5月にラスベガスでWBA2位のラモン・カルデナス(米国)と、9月に日本でWBA暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)と防衛戦を行う。そして12月、階級を上げ、サウジアラビアでWBA世界フェザー級王者ニック・ボール(英国)に挑戦する計画だ。
一般に、階級を上げる際は所持しているベルトを返上するものだ。なぜなら、王者がベルトを所持したまま階級を上げれば、その分、下の階級でタイトルマッチが催せない。他のボクサーは大迷惑だ。まして井上は4団体全てのベルトを独占している。
「でも、尚弥は別格。儲かるし、注目もされるので、スーパーバンタム級の選手たちはみな彼との対戦を熱望しているんです。ですから、尚弥がベルトを返上しなくても、誰も文句なんて言いません」
史上最高の日本人対決
中谷との対戦はその次で、来年の春になりそうだが、このときも常識では考えられないことが起きる。中谷はスーパーバンタム級に階級を上げるが、井上は中谷を迎え撃つために、いったん上げたフェザー級から階級を戻すのだ。
ボクサーは、とりわけ井上はより強い相手と拳を交えたがる。なのに、なぜ階級を下げるのか。
「それだけ中谷の強さを認めているということ。上った階段をわざわざ下りてまで戦いたい相手なのです」
有名な日本人対決といえば、「辰吉丈一郎vs薬師寺保栄」や「亀田兄弟vs内藤大助」が思い浮かぶが、
「正直言って、国内だけの盛り上がりでした。一方、PFP2位の尚弥と同8位の中谷の対戦は、世界が注目する、史上最高の日本人対決になるでしょう」
会場で呼びかけられた中谷は笑顔で応じ、井上とがっちりと握手を交わした。