広末涼子の幼稚な行動は自己防衛? 「パニック行動」を繰り返す背景に「透明感」の呪い

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交際相手はクリエイターだが女友達は一般人という線引きに見る「芸能人」としての強烈な自意識

 広末さんの近年のイメージは、清純というよりも交際してきた男性たちによるものが大きい。前夫はキャンドルデザイナーの前夫、不倫相手はシェフ。過去には薬物事件での逮捕歴があるモデルやグレーな組織とのつながりがうわさされたデザイナーもおり、いかつい見た目のクリエイター男性という一貫した好みがうかがえる。

 一方で、女友達の存在はほとんど見えてこない。芸能界で仲の良い女性というのもあまり聞かず、先日のバラエティー番組出演に参加したのも一般人のママ友だった。著書を読むと地元とのつながりは良好のようで、つきあいの長い友人もいるようだ。

 女優にとってイメージを大きく左右するのは、女友達よりも彼氏や夫。広末さんも、そうした使い分けをしているのではないか。清純なヒロスエ像という呪縛を引きちぎるには、奇抜な雰囲気の男性を隣に置くのが一番だと考えたのかもしれない。本来の自分とは違う女性像を押し付けてくる、世間の度肝を抜くことができるからだ。派手な夫と地味な女友達というバランスの中で、広末さんは「世間の目」からのストレスやプレッシャーを処理し、同時に「ハチャメチャな芸能人」としての自意識を満足させていたのかもしれない、というのは考え過ぎだろうか。

思い込みの強い真面目さが生んだ「透明感」の功罪

「自分はこう見られているに違いない」と思い込み続け、その強迫観念から逃れるためにさまざまな男女の間を行ったり来たりしていては、心身ともに落ち着かないのは当然だ。広末さんの融通の利かなさは、一方で周囲の期待に応えたいという生真面目さにもつながる。結局のところヒロスエ神話というのは、本当に自分が見せたい女性像を押し通すのではなく、あるべき女優像に応え続けるために思考停止した結果生まれたものだったように感じる。

 自分の考えがない、という姿は、一見すると素直で無垢に映る。それは広末さんが求められてきた「透明感」と実に相性が良かったはずだ。余計なことを考えずにいれば、大人や男性から褒められて求められるという体験は、あしき成功体験として広末さんの中に残ってしまったのではないか。

 不倫相手に宛てたラブレターのひらがなの多さや、YouTubeで見せていたふにゃふにゃしたしゃべり方。逮捕前はサービスエリアで見知らぬ人に話しかけ、「パニック」になると看護師を蹴る。警察の取り調べでは体を丸めて応じないとの報道もあった。子どものような幼稚な行動が、あどけない永遠の少女性につながるのはせいぜい20代まで。でも思い込みの強い広末さんにとって、考えなしに子どもっぽい行動をすることこそが、周りの大人からの許しと愛を得られる最大の武器であり、自分を守る唯一の方法だと信じ込んできたのかもしれない。

 暴力の理由に「ストレス」や「パニック」を言い訳に使って、同情されるのは子どもだけ。逮捕後の詳細は分からないが、もしもメンタルの問題で治療が必要な状態であれば、正面から向き合うべき時が来たのだろう。事務所社長として、職業人として、そして3児の母として、立ち直ってほしいものである。

冨士海ネコ(ライター)

デイリー新潮編集部

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