玉音放送を聞くと「じゃあ、整列して腹を切るか」と呼びかけ… “日本人とは何か”を考えた篠田正浩監督の根底にあった敗戦
物故者を取り上げてその生涯を振り返るコラム「墓碑銘」は、開始から半世紀となる週刊新潮の超長期連載。今回は2025年3月25日に亡くなった篠田正浩さんを取り上げる。
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映画監督の篠田正浩さんは、14歳で敗戦を迎えた。自分は皇国少年で天皇陛下といわば心中しようとしていたと述懐している。級長として玉音放送を聞き、「じゃあ、整列して腹を切るか」と呼びかける言葉が自然に口から出た。「それより、腹が減った」という仲間の声でわれに返った。...