打点が伸び悩む「1番」大谷 ドジャース下位打線「打率1割台」の惨状で、ロバーツ監督が決断すべきこととは
先月の東京シリーズでカブス相手に2連勝を飾り、見事な開幕ダッシュを決めたドジャース。本土に戻ってからも開幕からの連勝を8まで伸ばしていた。ところが、その後はフィリーズとナショナルズ相手に2カード連続の負け越しを喫するなど、その勢いは影を潜めている。
ただ、そんな状況下でもナ・リーグ西地区でパドレスやジャイアンツと首位争いを演じているのは事実。今季も優勝候補の最右翼であることに違いはない。
【八木遊/スポーツライター】
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今季の大谷は打点が伸びない
ドジャースの連覇達成に欠かせないのが主砲・大谷翔平の打撃だが、今季はやや好不調に波がある印象だ。先日のブレーブス戦でサヨナラ本塁打を含む3安打の固め打ちを見せたかと思えば、フィリーズとの3連戦で11打数1安打と自慢のバットが沈黙。その後のナショナルズ戦でももう少しでサイクル安打という活躍を見せた翌日が5打数1安打とアップダウンが激しい。
昨季惜しくも逃した三冠王も期待される大谷だが、今季は打点が伸びていない。その主たる原因が、走者のいない場面での打席数が多いことだ。
開幕から指定席の1番を打つ大谷だが、初回は当然、無死走者なしの場面で打席を迎える。しかし、今季は2打席目以降も走者なしで打順が巡ってくることが多い。昨季は1番に定着後、2打席目以降の323打席のうち半数近い152打席が走者を置いた場面だった(47.1%)。
ところが、今季はそれが46打席中14打席(30.4%)まで減少している(現地時間8日現在)。ここまで5打点を挙げている大谷だが、すべて本塁打によるもので、内訳はソロ3本と2ラン1本。つまり、今季はいまだタイムリーが出ておらず、打点数は上位と大きな差が生まれている。
機能不全のドジャース下位打線
長打が期待できる大谷だけに、チームとしてはできるだけ走者を置いた場面で打席に立ってほしいところだろう。しかし、そうはなっていないのには明確な理由がある。大谷の前を打つドジャースの下位打線が全く機能していないからだ。
ドジャースの打線自体は開幕から好調を維持しており、1試合平均得点もメジャー上位につけている。ただ、得点の多くを演出しているのが上位打線で、下位に座る打者はそろって打撃不振が続いている。
実際、7番から9番に座った打者の合算出塁率はメジャーワースト4位の.227(現地7日終了時点)で、下位打線に並ぶほとんどの打者が打率1割台という惨状だ。今季のドジャースは主砲・大谷の前に走者を全く置けていないのだ。
特に大谷の直前を打つ9番打者の不振が大きく、8日のナショナルズ戦でも大谷の直前を担ったオースティン・バーンズがことごとく凡退に倒れた。
もし大谷の打席で塁上に走者がいれば、バッテリーの意識はある程度走者に向くことになり、打者に対する警戒心は分散される。しかし、走者がいなければバッテリーは全神経を大谷に注ぐことが可能となるのだ。
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