打点が伸び悩む「1番」大谷 ドジャース下位打線「打率1割台」の惨状で、ロバーツ監督が決断すべきこととは

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昨季は1番定着後に打棒爆発

 そこで、考えられる打開策の一つが1~2番の入れ替えだ。開幕以降、ロバーツ監督は1番大谷、2番ベッツの並びを貫いているが、ベッツはもともと1番タイプの打者。昨季も1番ベッツ、2番大谷という並びで開幕を迎えた。

 しかし、昨年6月にベッツが手に死球を受け戦線を離れると、大谷がベッツに代わって1番に定着。ベッツがケガから復帰して以降も大谷は1番に固定された。その結果、自由が利く打順で大谷は打つ方だけでなく走る方でも大活躍。その結果、歴史的な「54本塁打&59盗塁」の快挙を達成したのは記憶に新しい。

 大谷がシーズン終盤に打棒を爆発させたのは1番固定もきっかけの一つだったが、昨季のドジャースは下位打線がしっかり機能していたことも大きかった。

 大谷が昨季1番に座ったのは、ベッツが戦列を離れた翌日の6月18日。それ以降の7~9番打者の合算出塁率.331はメジャートップで、上位から下位まで切れ目のない打線を形成していた。大谷の直前を打つ9番打者も同期間に.300と高い出塁率を残しており、それが大谷の打点王奪取につながったともいえるだろう。

1番ベッツ、2番大谷がベター?

 そんな昨季とは対照的に下位打線に元気がない今季は、大谷の1番起用にメリットは少ない。ケガのリスクも鑑みて大谷の盗塁機会が減っている今なら.395と高い出塁率を誇るベッツを1番に配置し、大谷を2番に戻すのが有効という声が出てきてもおかしくない。

 そうなると直後の3番打者も重要になるが、フリーマンがケガから戻るまではエドマンなどそのとき好調な選手を起用してもいいだろう。

 ナ・リーグ西地区は、ジャイアンツとパドレスも開幕ダッシュに成功しており、大本命のドジャースもそう簡単に独走とはいかないはず。強豪ぞろいの地区を勝ち抜くためにもさらなる得点力アップが必要不可欠になる。

 下位打線が機能していない現状のドジャース打線において、大谷の1番起用の非効率性が顕在化している。この傾向が続くのなら、ロバーツ監督は打順入れ替えの決断を迫られるかもしれない。

八木遊(やぎ・ゆう) スポーツライター
1976年生まれ。米国で大学院を修了後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLなどの業務に携わる。現在は、MLBを中心とした野球記事、および競馬記事を執筆中。

デイリー新潮編集部

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