たしかに「1本8000円の包丁」は高い、だが…「釣り人」「魚好き」にこそ知ってほしい“三枚おろしが2分で終わる”ことの劇的メリット

ライフ

  • ブックマーク

おまけが付いてくることも

 何しろこれらであれば、内臓と鱗を取れば作れるからである。しかし、この包丁のお陰で最も良い選択肢である「刺身」を作ることが可能になった。これが良い包丁を買う大きなメリットだ。

 スーパーで下処理をしていない安い魚を買う場合にこの包丁が役に立つことは冒頭で述べたが、自らさばくことで、副次効果も存在する。下処理をしていない魚には内臓がある。購入後、自宅に戻ったらすぐに処理はしなくてはならない。

 この時に案外と「お宝」を発見することがあるのだ。腹の中に「肝」「真子(卵巣)」「白子」が時折、残っているのである。肝と白子についてはアジだろうがイワシだろうが酒蒸しや醤油とショウガで煮れば立派なつまみ・おかずになる。真子はスズキやブリ、サワラでカラスミにすることができる。もちろん煮つけにしてもいい。

 もし魚が釣れ過ぎたとしても、良い包丁であれば、さばく時間が相当短くなるため負担は減る。そのうえで、内臓に関する「おまけ」がついてくる上に、さばいた後の質が大幅に良くなる。もちろん、釣りをしない人、処理された魚を買う人には不要だが、釣り人と安い魚を求める人には良い包丁はオススメする。「今年買ったものNo.1」になるかもしれない。なお、さばくにあたっては、YouTubeにいくらでも魚種別にさばき方の動画があるのでご安心を。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ、佐賀県唐津市在住のネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』『よくも言ってくれたよな』。最新刊は『過剰反応な人たち』(新潮新書)。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。